アパート＆マンションでの太陽光発電システム設置が始動

これまで一般住宅向けの太陽光発電といえば，もっぱら一戸建て
住宅が対象でした。

アパートなどの集合住宅では，一戸建て住宅で行われているように
，電力系統と連系し，余剰電力の売電を行うことはほとんどなさ
れていなかったのです。
しかし，もしも集合住宅も戸別に太陽光発電システムを導入でき
れば，売電が可能となるだけではなく，停電時の非常用電源とし
ても期待できるのです。

こうした背景のもとに，2010年の秋から，大手メーカーが参入し
，―戸建て住宅と同じように太陽光発電システムを導入したマン
ションが登場しはじめています。

これまで紹介してきたように太陽光発電システムの導入にはさま
ざまなメリットがあります。
余剰司力を電力会社へ売電したり，停電時の非常用常源として使
用したりすることができるのです。
また，太陽光発電システムを導人することで，多くのメーカーの
システムのセットに含まれている電カモニターを設置することが
できます。
尾カモニターには，太陽電池の発電量や，その家庭の消費電力，
買電力量,売電力量などが表示されます。
メーカーが｢電力の見える化｣と表剔するこのモニターによって，
家庭の電力使用状況を把握し，節電に役立てることも可能となり
ます。

これまで，アパートなどの集合住宅には，太陽光発電システム
の導人はあまり進んでいませんでした。
システムを導入していた場合でも，それは共用部分の電力である
ことが多かったのです。
蓄電池を装備してエレペーターの非常用電力として使われたり，
通路や階段の照明などの電力として使われていました。
各家庭(1住戸)ごとに太陽光発電システムをもち，一戸建て住宅
のように売買電をすることは，ほとんどなされていなかったとい
って良いです。

しかし2010年秋から，JX日鉱日石エネルギー株式会社(JXエネ
ルギー)が三洋電機と共同で開発したアパートの各住戸向けの
パワーコンディショナー(パワコン)が市場に登場しました。
これによって，新築・既築問わす，集合性宅への太隠光発電シス
テムの導入が，本格的に進んでいるのです。

【キーはパワコンのの能力】

なぜ、集合住宅に太陽光発電システムが導入されてこなかったん
でしょうか？

そもそも集合住宅には、各住戸に専用の屋根がないのが一般的です。
屋上はありますが、そこは専用スペースではなく共有のスペース
となる場合が多く、勝手に自分だけの太陽電池を設置するわけに
はいかないのです。
各住戸がベランダをもつ集合住宅は多いですが、その面積は太陽
電池を設置できるほど広くない場合がほとんどなのです。
では、屋上の面積を住戸ごとに割り当てて、そこで太陽光発電す
れば良いことになりますが、そう単純な話ではないようです。

JXエネルギーによれば，これまで集合住宅に太陽光発電システム
が普及してこなかった理由の一つに１住戸ごとに太陽光発電シス
テムを導入すると，各住戸で発電しているために停電したときな
どにパワーコンディショナーがそれを感知して停止する事がむす
かしくなる点もあるとのことです。

そこでJXエネルギーは，系統側に停電が発生した場合，それを各
戸のパワーコンディショナーが自動的に検知できる機能(単独運転
防止機能)を開発しました。
このパワーコンディショナーを軸としたものが，2010年秋に販売
された｢アパート向け戸別太隠光発電システム｣です。

【小面積・高効率・公平が最重要となる】

JXエネルギーの開発した｢アパート向け戸別太陽光発電システ
ム｣は，屋上に設置された太陽電池と，各住戸のパワーコンディ
ショナで構成されています。
基本的なシステムは，ー戸建て住宅とかわりはないです。
しかし，アパートの屋上の面積を一戸あたりに振り分けると，
その面積はー戸建て住宅と比較して極端にせまいのです。
そのため，発電能力の高い太陽電池が必須となってきます。
発電能力が高ければ，面積がせまくてもー定量の電力が期待でき
ます。

JXエネルギーでは，業界最高水準の変換効率をもつとされる三洋
電機のHIT太陽電池を採用しています。

また，設置角度が浅いということも，アパート向け太陽電池の
宿命です。

アパートの屋上は，水平であることが多く、太陽電池の最適な
設置角度は,30度前後です。

しかし水平な屋根では，30度前後の角度をつけることがむすかし
く、仮に30度前後の角度をつけ，復数列のパネルを並べても，前
列の影が後列にかかり，後列の発陽能力を下げる場合があります。
それでは，住戸ごとに発電量の差が生じてしまいます。

30度のまま影がかからないように配置すれば，屋上に人類の太陽
電池を設置することはむすかしいです。そのため，設置角度は5～
20度ほどと浅めになっています。

【四つの条件をクリアすれぱ，既築アパートでも可能】

次の四つの条件を満たすことで，既築アパートでも，戸別の太
陽光発電システムを導入できます。

★一つは，耐荷重性であること

太陽光発電システムはけっして軽いものではございません。
そのため｡1981年に改正された建築基準法(新耐震)にもとづいて
設計されたアパートであることが，必要な条件となってきます。

★二つ目は，配線の工事が必要であること

★三つ目は，屋上の大部分に影を落とすような構迫物がないこと

エレベーターのオ一バーヘッドや，貯水タンクなどの位置しだい
では，広い面積がとれない場合もあります。