最近、「電気代が高くなった」と思ったことはありませんか。エアコンや電子レンジ、照明など、私たちの暮らしは電気に大きく支えられています。しかし、その電気を「どう作っているのか」について、日常で意識する機会は少ないかもしれません。
地球温暖化と“エコ”のモヤモヤ
テレビやネットでは「異常気象」や「地球温暖化」という言葉が当たり前のように流れています。「エコが大事」と耳にしても、実際に自分が何をすればいいのか分からない──そんなモヤモヤを抱えている人も多いでしょう。
自治体が進めるクリーンエネルギー
そうした中、いま私たちの町、つまり地方自治体が「クリーンエネルギー」を活用した新しい取り組みを始めています。太陽や風、水といった自然の力を使い、地球にやさしい電気をつくりながら、地域の暮らしを守る動きが少しずつ広がっているのです。
身近な未来の変化を知る
これは決して遠い世界の話ではなく、私たちの身近で起きている変化です。この記事では、そんな“近い未来”の動きをできるだけわかりやすく紹介していきます。
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クリーンエネルギーってそもそも何？
「クリーンエネルギー」と聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。でも、実はとてもシンプル。簡単に言えば、“自然の力”を利用して作られる電気のことです。
自然の力を使った発電方法
身近な例を挙げると、次のようなものがあります。
・太陽の光を利用する「太陽光発電」
・風の力を活かす「風力発電」
・川の流れでタービンを回す「水力発電」
・木くずや生ごみを燃やして電気に変える「バイオマス発電」
これらはいずれも自然の恵みを活かす仕組みで、発電の際に地球を汚さないことが特徴です。そのため“クリーン（きれい）”なエネルギーと呼ばれています。
バイオマスや水素燃料の特徴
バイオマス発電では燃焼による排出ガスは発生しますが、燃料となる植物は成長過程でCO₂を吸収しているため、トータルではプラスマイナスゼロと考えられます。次世代燃料として注目されるバイオ燃料も同じ仕組みです。さらに、水素燃料は燃焼させても二酸化炭素を排出せず、燃料電池として使ってもCO₂が出ないため、こちらもクリーンエネルギーに分類されます。
火力発電との違い
一方、現在の電力の多くを担っているのは「火力発電」です。石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を燃やすことで電気をつくりますが、これには2つの大きな問題があります。ひとつは大量のCO₂を排出して地球温暖化の原因になること。もうひとつは、資源に限りがあり、価格が世界情勢に左右されやすいという点です。
クリーンエネルギーの魅力
その点、太陽も風も“タダ”で、なくなる心配がありません。だからこそ、今、多くの国や自治体がクリーンエネルギーの導入に力を入れています。「地球にやさしい電気」というと少し遠い話に思えるかもしれませんが、実際には私たちの身近にある自然が電気を生み出す力を持っています。そう考えると、ちょっと未来が明るく感じられませんか？
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地方自治体がなぜクリーンエネルギーに取り組むの？
「クリーンエネルギーって大切そうなのは分かるけど、なんで“町”がやるの？」
そう思う方もいるかもしれません。実は、地方自治体がクリーンエネルギーに取り組むのには、ちゃんと理由があります。それも、私たちの暮らしに直結するような理由です。
理由1：電気代が上がりすぎて、町の運営に支障
学校や保育園、市役所、図書館…こうした公共の建物では、たくさんの電気が使われています。電気代が高騰すると、自治体の出費もどんどん増えてしまいます。
ある市では、公共施設の電気代がこの数年で数千万円も増えたというデータも。これは住民サービスのために使えるお金が削られてしまう、ということです。
そこで、太陽光パネルをつけて電気を“自分たちで作る”取り組みが注目されています。電気代を減らし、そのぶんのお金を子育て支援や医療、福祉に回せるようになるのです。
理由2：災害に強い“町”をつくるため
日本は地震や台風が多い国です。台風による停電も珍しくありません。大きな地震や災害が起これば、数日から数週間の停電もありえます。そんな時、クリーンエネルギーを活用している施設なら、電気を自前で確保し、市の施設や最低限度のインフラ設備などを稼働できる可能性があります。
例えば、避難所になる学校に太陽光と蓄電池を設置しておけば、災害時にも明かりや携帯の充電ができ、安心につながります。情報収集も可能なので、被災者の方に適切な情報を発信することも可能です。
電気は“命を守るインフラ”として、今や防災対策の一部として考えられているのです。
理由3：国の補助金が出るから、比較的始めやすい
クリーンエネルギーの導入には初期費用がかかります。でも、国や県が出している補助金や支援制度を使えば、導入のハードルはぐっと下がります。
これをきっかけに、自治体と地元企業が協力したり、地元の雇用が生まれたりと、地域の経済を元気にする効果もあります。
理由4：子どもたちの未来のために
クリーンエネルギーは、CO₂を出さず、地球環境にやさしい方法です。今すぐに効果が見えるわけではありませんが、10年後、20年後の町の姿を変えていく選択です。
自治体の中には、子どもたちに「エネルギーの授業」を行ったり、発電所の見学を取り入れたりして、学びの場にもつなげているところがあります。
ただ電気を使うのではなく、「どこから来て、どう作られているか」を知ることが、未来の環境を考える第一歩になるからです。
このように、クリーンエネルギーへの取り組みは「環境のため」だけではなく、「暮らしを守るため」「地域を元気にするため」の選択でもあります。
そしてその動きは、すでに全国の町や市で始まっています。
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実際に動いている町の事例紹介
「クリーンエネルギーが大事なのは分かった。でも、実際に取り入れている町なんて本当にあるの？」 そう思う方もいるかもしれません。けれど、今、全国の自治体で、着実に取り組みが広がっています。ここでは、特に生活者目線で「なるほど、いいかも」と思えるような、3つの町の事例をご紹介します。
長野県松本市：学校の屋根で電気をつくって、災害にも備える
学校の屋根に広がる太陽光パネル
長野県松本市では、市立の小中学校を中心に屋根へ太陽光パネルを設置する取り組みを進めています。これは単に「電気代を節約するため」だけでなく、地域全体の安心・安全を守る仕組みづくりの一環です。
電気代削減と教育・施設への還元
発電された電気は日中の照明や空調に利用され、その分、学校の電気代が抑えられます。浮いた費用は教育環境の充実や施設整備に回され、子どもたちの学びや暮らしに還元されています。
蓄電池との連携で“防災拠点”に
さらに、一部の学校には蓄電池も導入されています。停電が起きても照明や携帯の充電、暖房といった基本的な機能が確保され、避難所としての役割を果たせるのです。災害時でも安心して過ごせる環境を整えることは、地域住民にとって大きな安心材料となっています。
子どもと地域を守る一石二鳥の取り組み
松本市の取り組みは、子どもたちの安全と快適な学習環境を守りながら、エコなまちづくりにも貢献しています。まさに「教育」と「防災」と「環境」の三拍子を揃えた、一石二鳥以上の地域施策といえるでしょう。
兵庫県洲本市：地元の木を使って電気をつくる「バイオマス発電」
洲本市が取り組むバイオマス発電
兵庫県淡路島にある洲本市では、少しユニークな方法でクリーンエネルギーを活用しています。それが「バイオマス発電」です。地元の山から出る間伐材（伐採時に切り落とされた木）を燃料として電気や熱をつくり出す仕組みを取り入れています。
森林整備と雇用の創出
この取り組みによって山が適切に整備され、土砂災害の防止につながると同時に、林業に新たな雇用が生まれています。地域の自然環境を守りながら、人の暮らしや産業を支える効果を生み出しています。
熱の再利用で地域循環
発電時に生じた熱は公共施設の暖房や温水利用に回され、無駄なく活用されています。単に電気を生み出すだけでなく、エネルギーを地域で循環させるモデルケースとなっているのです。
地域資源を無駄なく生かす仕組み
洲本市のバイオマス発電は、“電気をつくる”ことだけが目的ではありません。“地域の資源を無駄なく使い、循環させる”ことが大きなポイントです。こうした取り組みは、地元の産業と環境を同時に守る新しい形のクリーンエネルギー活用といえるでしょう。
宮崎県小林市：住民が出資して、電気を「育てる」しくみ
小林市が示した新しいクリーンエネルギーの形
「クリーンエネルギーって、お金持ちの自治体しかできないんでしょ？」──そんなイメージを覆すのが、宮崎県小林市の事例です。ここでは、市と地元のNPO法人が連携し、住民が少額から出資できる「市民共同発電所プロジェクト」を立ち上げました。
市民が参加する太陽光発電
プロジェクトでは、市内の公共施設の屋根に太陽光パネルを設置。その発電による売電収益は、まず出資者に一部が還元されます。そして残りは、子育て支援や地域イベント、環境教育などの活動に活用される仕組みになっています。
みんなでつくり、みんなに還元する仕組み
このプロジェクトの特徴は、「電気をみんなでつくり、みんなで使い、そしてみんなに利益が戻ってくる」という新しい地域経済モデルを実現している点です。エネルギーを単に消費するのではなく、地域社会全体で共有し合う仕組みになっています。
身近に感じられる“エネルギーづくり”
少額出資という形で関わることができるのも魅力のひとつです。「電気をつくるなんて遠い世界の話だと思っていたけれど、自分にもできることがある」と実感する住民も多く、地域の一体感を高める効果も生まれています。
福島県会津若松市：木質バイオマス発電による地域循環型エネルギーの推進
福島県の会津若松市では、豊富な森林資源を活用した木質バイオマス発電を推進しています。市内で発生する間伐材や未利用材を燃料とし、地域の自然資源をエネルギーとして循環させる仕組みを構築しています。
森林保全とエネルギー自給率の向上
この取り組みは、単に電力を生み出すだけではなく、森林の健全な管理にもつながっています。適切な間伐によって山の環境が守られ、土砂災害の防止や生態系の維持に貢献。同時に、地域内でのエネルギー自給率を高める効果も生み出しています。
地域経済への波及効果
発電された電力は市内の公共施設や一般家庭に供給され、地産地消のエネルギーモデルとして地域経済の活性化にも寄与しています。森林資源をエネルギーに変えることで、環境・経済・暮らしを同時に支える持続可能な地域づくりが進んでいるのです。
鳥取県：再生可能エネルギーを活用した地域脱炭素モデルの構築
鳥取県では、再生可能エネルギーを活用した地域脱炭素モデルの構築を進めています。小水力発電、太陽光発電、バイオマス発電など多様なエネルギー源を組み合わせることで、地域のエネルギー自給率を高め、CO₂排出量の削減を目指しています。
地域産業と雇用への効果
これらの取り組みは、環境への配慮にとどまりません。新しい産業の振興や地元での雇用創出にもつながり、地域経済の活性化に貢献しています。エネルギー政策と地域づくりが一体化したモデルケースといえるでしょう。
特別ではなく、身近な挑戦
こうした事例からわかるのは、クリーンエネルギーが「都会だけの話」でも「特別な場所」だけのものでもないということです。むしろ、小さな町だからこそ地域のつながりを活かし、独自の工夫で実現できる取り組みがあるのです。
あなたの町でも始まっているかも
「自分の住んでいる町ではどうなんだろう？」と思ったら、市のホームページや広報誌をのぞいてみてください。実はもう、ひっそりと動き出しているかもしれません。身近なところから未来のエネルギーが育っているのです。
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私たちにできること
「クリーンエネルギー、いいことなのは分かった。でも、自治体や企業の話でしょ？」
そう思った方もいるかもしれません。けれど、実は私たち一人ひとりにも、できることがあります。大きなことじゃなくていいんです。ちょっと気にする、ちょっと行動する。それだけでも未来は変わっていきます。
まずは「知ること」から
地元の市役所や町のホームページ、広報紙を見てみてください。「太陽光パネル設置」「エネルギーの地産地消」など、意外と身近な取り組みが進んでいることがあります。
イベントや説明会が開かれていることもありますし、SNSなどで発信している自治体も増えてきました。
「へえ、うちの町でもやってるんだ」
そう思えたら、それだけで一歩前進です。
家の中でもできる「ちょっとエコ」
クリーンエネルギーを直接使うのは難しくても、「電気を大切に使う」ことはすぐにできます。
• 古い電球をLEDに替える
• 使っていない家電のコンセントを抜く
• 冷暖房の温度を少し調整する
• 電気の契約プランを見直してみる（再エネ電力を選べる会社もあります）
小さな積み重ねですが、家庭の電気代の節約にもなり、結果的に地球にもやさしい選択になります。
子どもと一緒に「考える」
子育て中の方なら、子どもと一緒に「電気ってどうやってできているの？」を話題にしてみるのもおすすめです。
実際にクリーンエネルギー施設の見学会を行っている自治体もありますし、夏休みの自由研究にもぴったり。
「環境のことって、ちょっと難しい…」と思っていた子どもが、「自分にもできることがある」と思えるきっかけになります。
クリーンエネルギーは、どこか遠い技術の話ではありません。
私たちの暮らしの中にすでに入り込んでいて、それをどう使うか、どう関わるかは、私たち自身が選べることなのです。
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地方自治体のクリーンエネルギー対策のまとめ
クリーンエネルギーは「いつかの未来」の話ではありません。それは、今この瞬間の暮らしを守り、町を元気にするための現実的な選択肢です。
町を動かす身近な理由
電気代を抑える、防災に備える、地元の資源を有効に活かす──そんな身近で具体的な理由から、全国の町が少しずつ動き始めています。私たちの暮らす地域でも、すでに小さな変化が芽生えているかもしれません。
小さな一歩に関わる大切さ
その小さな動きに気づき、応援したり関わったりすることは、誰にでもできることです。「どうせ変わらない」と思うのではなく、「自分の町も少しずつ良くなっている」と感じられること。それが次の変化を生む力になります。
未来は足元から始まる
未来は遠い場所にあるのではなく、私たちの足元から始まっています。今日の暮らしの中に芽生えた動きを見つめながら、明日を少し前向きにとらえていただければ幸いです。
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