
太陽光発電を導入する際には、事前のシミュレーションが欠かせません。 太陽光発電は「設置すれば自動的に得をする」ものではなく、家庭の電気使用状況や屋根の向き・角度、日照条件によって発電量や節約効果が大きく変わります。
太陽光発電のシミュレーションの必要性から、実際の収支計算の考え方、モデル例、リスク対策までを解説します。
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太陽光発電のシミュレーションはなぜ必要
太陽光発電の導入を失敗なく進めるためには、事前のシミュレーションが必要です。シミュレーションによって発電量を予測し、売電収入や自家消費による電気代削減額などの収支を事前に把握します。設置から何年で初期投資を回収できるかについて、事前のシミュレーションで判断できます。
太陽光発電の発電量は、屋根の向き・傾斜・日照時間・周囲の影などの条件によって微妙に差が生じます。そのため、正確な条件を設定してシミュレーションを行うのが重要です。
電気の使い方によって節約効果も変わります。昼間の在宅時間が長い家庭ほど自家消費率が高く、電気代削減効果が大きくなりますが、シミュレーションによって目安をつけられます。
最近では、蓄電池や電気自動車と組み合わせて電気を「貯めて使う」家庭も増えており、その効果を数値化するうえでもシミュレーションは重要になってきます。
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太陽光発電のシミュレーションをする3つの方法
太陽光発電のシミュレーションを行う方法は3つあります。「シミュレーションサイトを利用する」「自分でシミュレーションする」「施工会社に依頼する」の3つです。それぞれの方法とメリットを紹介します。
シミュレーションサイトを利用する
太陽光発電のシミュレーションは、太陽光パネルメーカーなどが運営するシミュレーションサイトを利用すれば、簡単にシミュレーションが可能です。ユーザーの住居情報や使用状況を入力するだけで、発電量や電気代削減効果などを試算し、導入の効果を可視化できます。
京セラの太陽光発電
例えば、京セラの「簡単シミュレーション」は、4ステップの入力操作で時間別・月別の発電量をグラフ化でき、蓄電池情報を加えての停電時に使用可能な家電の確認も可能です。
LIXILの太陽光発電
LIXILの「太陽光発電システム導入シミュレーション」は、ユーザーの住居情報をもとに、発電量や電気代削減効果を視覚的に表示し、施工事例やシステム構成の提案も含まれており、導入後のイメージを具体的に把握できます。
SHARPの太陽光発電
SHARPの「太陽光発電・蓄電池システム シミュレーション」は、発電量、電気代削減、蓄電池の活用効果を一元的に比較・試算でき、ユーザーの使用状況や設置条件に応じたシミュレーションが可能です。
自分でシミュレーションする

太陽光発電のシミュレーションは、自分で行うことも可能です。セルフでシミュレーションする方法は、①太陽光発電の発電量を計算し、②太陽光発電による年間での収支を計算します。順番に見ていきましょう。
◆ 太陽光発電の年間発電量を計算
太陽光発電の年間発電量は、設備容量、日射量、損失係数を使って計算できます。計算式は以下の通りです。
年間発電量(kWh)=設備容量(kW)×日射量×損失係数×365
設備容量は、パネル1枚あたりの公称最大出力に枚数を掛けた合計値で求められます。日射量は地域ごとに異なるため、NEDOの日射量データベースなどを活用します。損失係数は発電時のロスを補正する値で、一般的に0.73〜0.85が使用されます。
たとえば、設備容量3kW、日射量4.3kWh/m²、損失係数0.73とした場合、計算式に当てはめると「3×4.3×0.73×365=3,437.205」となります。小数点を四捨五入した年間発電量は3,437kWhです。このように計算すると、地域や設備条件に応じた発電量を正確に予測できます。
◆ 太陽光発電による年間での収支を計算
太陽光発電による年間収支を算出するには、自家消費による電気代削減分と売電収入を合計し、そこからランニングコストを差し引いて計算します。自家消費による削減額は以下の式で計算できます。
削減できる電気料金=1kWhあたりの電気料金×年間発電量×自家消費率
電気料金は電力会社との契約内容を確認し、自家消費率は一般家庭では約30%を想定します。たとえば、3kWの太陽光発電を導入し、年間発電量3,437kWh・電気料金31円/kWh・自家消費率0.3とすると、削減額は30,933円です。売電収入は以下の式で求められます。
売電収入=売電量×売電単価
発電量のうち70%を売電し、売電単価を15円/kWhとすると3,6088万円の売電収入が得られます。年間収入の合計は約67,000円です。
施工会社に依頼する
太陽光発電のシミュレーションは施工会社に依頼できます。施工会社は現地調査を実施して、屋根形状・方位・影の影響などを詳細に把握します。ネット上の簡易シミュレーションでは考慮されない地形や周囲環境も反映できるため、より信頼性の高い予測値を得られます。
また、施工会社に依頼すれば、発電見込みをもとに設計(最適なパネル配置・容量選定)までワンストップで提案してもらえる点も大きなメリットです。相見積もりと並行して複数社にシミュレーションを依頼すれば、提案会社間の比較も容易になり、シミュレーションの数値をもとに適切な判断を下せます。
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太陽光発電はシミュレーション通りにならないリスクもある
太陽光発電の導入前にシミュレーションを行うのは重要ですが、シミュレーション通りにならないリスクがある点も知っておく必要があります。ここでは、太陽光発電の運用を妨げる主なリスク要因を3つ紹介します。
長期的な気候変動

太陽光発電の発電量予測は、長期的な気候変動によって計算通りにならないリスクをはらんでいます。シミュレーションは過去の気象データをもとに計算されていますが、気候の前提が崩れると期待通りの発電量が得られない可能性があるのです。
地球温暖化にともなって大気中の水蒸気量が増加しているため、雨の降り方が変化しています。そのことで、日射量や日射強度、季節変動といった条件も変化する可能性があります。
ただし、気象庁の長期予想によると、日本では降水日数そのものは減少傾向にあるという観測がされています。つまり、晴れの日が増えるということであり、気候変動が太陽光発電にはプラスに働く可能性があると思われます。
一方、1時間あたりの大雨などの極端現象の頻度は増えているという観測がされているため、災害の発生には注意する必要があります。
太陽光パネルの経年劣化
太陽光パネルの発電能力は、残念ながら毎年わずかに低下していきます。一般的に、年間0.5%から1.0%程度の劣化が想定されており、10年後には定格出力が5%〜10%、20年後には10%〜20%も低下する可能性が高いと言われています。劣化の原因は、使用環境や温度変化、紫外線の影響によってセルや配線が徐々に劣化する「自然劣化」によるものです。
実際に多くのメーカーはこの劣化を前提に性能保証を設けており、「25年後も定格出力の80〜90%を維持」などと明示しています。条件を逆算すると、年間で約0.5〜0.8%の劣化率を想定しているのが分かります。
シミュレーションで示される年間発電量は初期状態を基準とした理論値にすぎません。実際の運用では、経年劣化による発電量低下を長期的な予測に必ず反映させる必要があります。
太陽光発電の設置場所の変化
太陽光発電の発電量は、設置環境の変化によって大きく左右されます。設置当初は十分な日射を確保できていたとしても、時間の経過とともに条件が変化する可能性があるからです。たとえば、隣地の樹木が成長してパネルに影を落とすようになると、発電効率が低下します。近隣に高層建築物が新築されると、日照時間が短くなり、年間発電量がシミュレーション値を下回る場合もあります。
建設工事や都市開発、道路整備などによって反射光や影の角度が変わる場合もあり、発電量への影響は無視できません。さらに、積雪や塩害、黄砂などの地域特有の環境要因も年によって変動し、予測と実績に差が生じる可能性があります。
太陽光発電のシミュレーションは、設置時点の周囲環境や影の状況を前提に算出される理論値です。そのため、運用後の環境変化を過小評価すると、想定通りの発電が得られないリスクが高まります。シミュレーション結果を過信せず、設置後も定期的に環境を確認し、発電条件を維持するのが重要です。
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実際にシミュレーションしてみよう
想定どおりに進まないさまざまなリスク要因があるとはいえ、太陽光発電のシミュレーションが重要である事実は変わりません。ここからは、実際にモデルケースを設定し、太陽光発電の運用をシミュレーションしていきます。
太陽光発電の設備容量4.5kWのモデルケース

今回は、太陽光発電の設備容量4.5kWを導入した世帯を想定してシミュレーションを行います。
【前提条件】
● 世帯:東京都在住の3人家族(夫婦と子ども1人)
● 電気料金:1kWhあたり31円
● 売電価格(FIT単価):15円
● 設置費用:126万円
想定条件は、東京都在住の3人家族(夫婦と子ども1人)です。電気料金は1kWhあたり31円、売電価格(FIT単価)は15円、設置費用は126万円とします。前提条件をもとに、年間発電量や電気代の削減効果、売電収入、投資回収期間などを段階的に試算していきます。
どれほどの経済効果が得られるのかを具体的に見ていきましょう。
年間発電量
太陽光発電シミュレーションの最初のステップとして、年間発電量の予測が不可欠です。年間発電量の把握によって、導入後の収支計算や節約効果を予測できます。
前提条件(東京都在住の3人家族、設備容量4.5kW、日射量4.3kWh/m²/日、損失係数0.73)にもとづいて試算してみましょう。年間発電量の計算式は以下の通りです。
年間発電量(kWh)=設備容量(kW)×日射量×損失係数×365
前提条件を当てはめると、
4.5×4.3×0.73×365=5,155(kWh)
年間約5,155kWhの発電が見込まれることがわかりました。東京都の家庭での電力消費を考慮すると、十分な節約効果が期待でき、売電収入も一定の規模で見込めるため、導入メリットを把握する上で有益な数値です。
自家消費電気代
次にシミュレーションするのは自家消費による電気代の削減効果です。発電した電気を自宅で使うと、電力会社から電気を買わずに済みます。毎月の電気料金がどれだけ節約できるかを試算してみましょう。
前提は引き続き、東京都在住の3人家族を想定し、年間発電量5,155kWhのうち、自家消費率を30%と設定します。計算式は以下の通りです。
自家消費電気代=年間発電量(kWh)×自家消費率(%)×電気料金単価(円/kWh)
5,155(kWh)×30%×31(円)=47,926(円)
年間で47,926円の電気代が削減できることが分かりました。自家消費率30%という設定でも、年間でおよそ5万円近い節約効果が見込めます。
売電収入
売電収入は、家庭で消費せず余った電力を電力会社に販売することで得られる収入です。年間発電量と自家消費率、売電単価をもとに計算することで、導入後の経済効果を具体的にイメージできます。先の前提条件で計算してみましょう。式は以下の通りです。
年間売電収入=年間発電量×売電自家消費率の残り×売電単価
5,155(kWh)×70%×15(円)=54,127(円)
モデルケースでは年間で54,127円の売電収入が見込めると分かりました。自家消費の節約額47,926円と合わせると、年間で10万円以上の収益が得られます。
投資回収を計算

投資回収期間は、初期費用をどのくらいの期間で回収できるかを示す指標であり、経済的メリットを可視化するための基本的な計算です。今回は、初期費用126万円から東京都の補助金45万円を引いた実質初期費用81万円を、これまでの年間総収益(47,926円+54,127円)で割って試算します。計算式は以下の通りです。
設置費用÷(自家消費による年間節約額+年間売電収入)=投資回収期間(年)
810,000(円)÷(47,926+54,127)=7.9(年)
モデルケースにおける投資回収期間は7. 9年となりました。住宅用太陽光発電のFIT買取期間である10年以内に初期費用を回収できる見込みです。補助金を利用し、自家消費と売電で得られる収益を合算することで、比較的短期間で投資を回収できることが分かります。
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綿密なシミュレーションで太陽光発電を導入しよう
太陽光発電の導入を成功させるためには、綿密にシミュレーションを行うことが非常に重要です。事前にシミュレーションを行うと、予想される発電量を試算し、売電収入や自家消費による電気代削減額などの収支を事前に把握できます。
自分でも計算できますが、より正確で専門的な分析を得るためには施工会社に依頼するのがおすすめです。太陽光発電の導入を検討中の方は、施工実績が豊富で信頼できる会社に必ずシミュレーションを依頼しましょう。
























