
太陽光発電システムは環境にやさしくコスト削減にも貢献する優れた設備ですが、導入後に気になるのが「火災リスク」です。実際にニュースで太陽光パネルからの出火事例を見聞きすることもあり、既に設置している方もこれから導入を検討している方も、不安を感じているかもしれません。
しかし実は、太陽光パネルそのものが自然発火するケースは極めて稀です。火災の大半は「施工不良」や「メンテナンス不足」が原因で発生しています。本記事では、実際に起きた住宅火災の原因や、ユーザー側でできる予防策、安心できる業者の見極め方まで、具体的に解説していきます。
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実際に起きた太陽光火災の原因トップ3

消防庁や電気保安協会の報告によると、太陽光発電システムに関連する火災の原因は、ほぼすべてが「電気的な不具合」によるものです。特に多いのが以下の3つの原因です。
① コネクタ接続不良(特にMC4互換品の問題)
太陽光パネルの配線には「MC4コネクタ」と呼ばれる専用の接続端子が使われます。このコネクタは防水性・耐久性に優れていますが、問題は「互換品」の使用です。純正品ではない安価なコネクタを使用した場合、接触不良が起きやすく、接続部分に抵抗が生じて発熱します。
発熱が続くと最終的には樹脂部分が溶け、最悪の場合は発火に至ります。特に屋外で雨風にさらされる環境では、接続部分に水分が侵入しやすく、ショートや腐食のリスクも高まります。コストを抑えるために互換品を使う業者も存在しますが、これは非常に危険な選択です。
② 施工ミス(圧着不足、配線の被覆破れ)
次に多いのが、施工段階でのミスです。具体的には、ケーブルの圧着が不十分だったり、配線を屋根の突起部分に這わせる際に被覆(ケーブルの保護層)が破れてしまうケースです。
圧着不足の場合、電気が流れる際に抵抗が生じ、その部分が異常に発熱します。また、被覆が破れると露出した銅線が他の金属部分と接触してショートを起こす可能性があります。特に強風や積雪でケーブルが動いたり引っ張られたりすると、さらにダメージが蓄積します。
こうした施工ミスは、経験の浅い作業員が担当した場合や、工期を急いだ結果として発生することが多いです。
③ ケーブルの挟み込み・断線
パネルを屋根に固定する際、架台とパネルの間にケーブルを挟み込んでしまうミスも散見されます。挟まれた部分は徐々にダメージを受け、被覆が破れて内部の銅線が露出します。
また、鳥がケーブルをつついたり、経年劣化で被覆が硬化してひび割れるケースもあります。断線すると電流が一部に集中し、その箇所が異常発熱して火災につながることがあります。
重要ポイント:太陽光パネル自体が燃えるのではなく、配線周りの施工不良や劣化が火災の主な原因です。つまり、適切な施工と定期点検があれば、火災リスクは大幅に低減できます。
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太陽光パネルそのものが燃える可能性は?

太陽光パネル内部の構造と発火の可能性
太陽光パネルは、強化ガラス、シリコンセル、樹脂フィルム、バックシートといった層で構成されています。これらの素材自体は不燃性または難燃性であり、通常の使用状況で自然発火することはありません。
ただし、パネル内部に「ホットスポット」と呼ばれる異常発熱箇所が生じると、その部分の温度が局所的に上昇します。ホットスポットは、セルの一部が影になったり、バードフン(鳥のフン)で覆われたりした場合に発生します。
ホットスポットの危険性
ホットスポットが発生すると、その部分だけが高温になり、周囲のセルとの温度差が大きくなります。最悪の場合、樹脂部分が変質してガラスにひびが入ったり、バックシートが焦げることがあります。
しかし、これも「発火」に至るケースは非常に稀です。現代のパネルにはバイパスダイオードという保護機能が組み込まれており、異常が起きた部分だけ電流を迂回させる仕組みになっています。ただし、安価な粗悪品や古いモデルでは、この保護機能が不十分な場合もあるため注意が必要です。
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ユーザー側でできる火災予防策

目視点検のポイント
定期的な目視点検は、火災予防に非常に有効です。以下の点を中心にチェックしましょう。
• ケーブルの垂れ下がり:配線が屋根から垂れ下がっていないか確認します。垂れ下がっている場合、風で揺れて他の部分と接触したり、引っ張られて断線の原因になります。
• 鳥害の有無:鳥の巣がパネルの下に作られていないか、フンが大量に付着していないかを確認します。鳥害はホットスポットの原因になります。
• パネルの浮き:パネルが架台からずれていたり、固定ボルトが緩んでいる場合、強風時にパネルが動いてケーブルにダメージを与える可能性があります。
• 焦げや変色:パネルのバックシート(裏面)に焦げ跡や変色がある場合は、内部で異常発熱が起きている証拠です。すぐに業者に連絡しましょう。
パワーコンディショナーの異音・エラー表示
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する重要な機器です。パワコンに異常があると、火災リスクが高まります。
• 異音がする:ブーンという通常のファン音とは異なる、ジリジリ、パチパチといった音がする場合は、内部で異常が起きている可能性があります。
• エラー表示:パワコンの液晶画面に「絶縁異常」「地絡」「過電圧」などのエラーが出た場合は、配線に問題がある可能性が高いです。取扱説明書を確認し、該当するエラーコードがあればすぐに業者に連絡しましょう。
• 発熱:パワコンの表面が異常に熱い場合も要注意です。通常でも動作時は温かくなりますが、触れないほど熱い場合は異常です。
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火災保険での太陽光補償の差

般的な火災保険の補償範囲
太陽光発電システムは「建物付属設備」として扱われるため、住宅の火災保険でカバーされることが多いです。ただし、すべての保険が同じ補償内容ではありません。
火災による損害は基本的に補償されますが、「経年劣化」や「施工不良による損害」は補償対象外となるケースがほとんどです。また、落雷や風災、雪災などの自然災害による損害は、特約に加入していないと補償されない場合もあります。
太陽光専用の保険も検討を
通常の火災保険では不十分と感じる場合、太陽光発電システム専用の保険に加入する方法もあります。これらの保険では、パネルの破損、パワコンの故障、売電収入の損失などが幅広くカバーされます。
特に、施工不良が原因の火災でも補償される商品や、災害時の売電収入減少を補填してくれるプランもあります。年間数千円から加入できるものもあるため、導入時に検討する価値があります。
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安心できる施工業者の見極め方

電気工事士の資格は必須
太陽光発電の設置工事には「電気工事士」の資格が必要です。特に、配線を接続する作業は有資格者でなければ行えません。業者選びの際は、担当する作業員が第一種または第二種電気工事士の資格を持っているか必ず確認しましょう。
また、太陽光発電システムの施工実績が豊富かどうかも重要です。実績が少ない業者は、細かなノウハウが不足しており、施工ミスのリスクが高まります。最低でも年間50件以上の施工実績がある業者を選ぶと安心です。
写真付き報告書の有無
信頼できる業者は、施工後に「写真付き報告書」を提出してくれます。これには、パネルの設置状況、配線の接続箇所、防水処理の様子などが詳細に記録されています。
この報告書があれば、将来的にトラブルが発生した際も、施工時の状態を確認できます。逆に、報告書を提出しない業者は、後々責任を追及されることを避けようとしている可能性があります。
保証内容とアフターフォロー
施工保証が最低10年間あるかどうかも重要なポイントです。優良業者は、工事に自信があるため長期保証を提供できます。また、定期点検サービスが含まれているかも確認しましょう。
年に1回程度の点検があれば、初期段階で異常を発見でき、火災リスクを大幅に減らせます。
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火災予防のための年間メンテナンススケジュール

春(3月〜5月):花粉・黄砂対策
春は花粉や黄砂が付着しやすい季節です。パネル表面が汚れると発電効率が5%から10%低下することもあります。この時期は目視でパネルの汚れ具合を確認し、必要に応じて専門業者に清掃を依頼しましょう。自分で屋根に登るのは危険ですので、必ず専門家に任せてください。また、春は台風シーズン前の点検時期としても最適です。
夏(6月〜8月):高温期の発熱チェック
夏場はパネルやパワコンが高温になりやすく、異常発熱が起きやすい時期です。パワコンの周辺温度が異常に高くないか、異音がしないかを確認しましょう。また、夏は雑草が伸びる季節でもあります。パネルの下に雑草が生い茂ると、火災リスクが高まるだけでなく、小動物の住処になることもあるため、定期的な草刈りが重要です。
秋(9月〜11月):台風後の点検
台風シーズンが終わったら、必ずパネルの状態を確認しましょう。強風でパネルがずれていないか、架台の固定ボルトが緩んでいないか、配線が損傷していないかをチェックします。台風後は見た目に問題がなくても、内部で微細なダメージが蓄積していることがあります。専門業者による点検を受けることをおすすめします。
冬(12月〜2月):積雪・凍結対策
積雪地域では、雪の重みでパネルが破損したり、配線が断線するリスクがあります。また、凍結と融解を繰り返すことで、防水処理部分が劣化することもあります。冬季は特に、パネルの積雪状況と融雪後の状態確認が重要です。さらに、年末年始は業者が休みに入ることが多いため、トラブルが起きても対応が遅れる可能性があります。冬前に一度点検を受けておくと安心です。
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太陽光発電の火災リスクのまとめ

太陽光発電の火災は、ほとんどが施工不良や接続不良に起因します。信頼できる業者を選び、定期的な点検を行うことで、リスクは大きく低減できます。既に設置済みの方も、一度配線周りの確認をしてみることをおすすめします。
























