
太陽光発電は、電気代削減や売電収入といったメリットが注目されがちですが、実際に設置してみると「こんなはずじゃなかった」と感じるトラブルに直面することも少なくありません。カタログやシミュレーションでは見えてこない、リアルな運用上の課題が存在するのです。
本記事では、9.8kWの太陽光発電システムを実際に運用している筆者の経験をもとに、設置後に起こりがちな想定外のトラブルを5つ紹介します。業者からは事前に説明されなかった問題、想定していなかった出費、そして気づきにくい不具合など、実体験に基づく生の情報をお届けします。これから導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金」メニュー
| エコキュート | 補助金 | お見積り・お問合せ |
|---|---|---|
|
お見積り|太陽光 |
鳥害トラブル「まさかパネルの下に鳩が営巣するとは…」

太陽光パネルを設置してから数ヶ月後、屋根の上から「ポッポッポ」という鳩の鳴き声が聞こえ始めました。最初は近くの電線に止まっているだけだと思い気にしていませんでしたが、次第に糞害がひどくなり、ベランダや車にも被害が及ぶようになりました。
不審に思って専門業者に調査してもらったところ、なんとパネルと屋根の隙間に鳩が巣を作っており、既に卵まで産んでいたのです。業者によると、この状態を放置すると糞の腐食で屋根材が傷んだり、配線をかじられたりする可能性もあるとのことでした。
太陽光パネルは屋根から10〜15cm程度浮いた状態で設置されるため、鳩にとっては雨風をしのげる絶好の住処。さらに、パネルの下は天敵である猫やカラスから身を隠せるうえ、夏は日陰で涼しく、冬はパネルの熱で暖かいという最高の環境なのです。都市部では特に鳩の個体数が多く、このトラブルは決して珍しくありません。
防鳥対策に20万円の出費
鳩の駆除と巣の撤去、そしてパネル周囲全体に防鳥ネットを設置する工事で、約20万円の費用がかかりました。この費用は当初の見積もりには一切含まれておらず、完全に想定外の出費です。内訳は、鳩の駆除・清掃費が3万円、防鳥ネット材料費が5万円、そして施工費と足場代で12万円というものでした。
防鳥ネットは一度設置すれば効果は高いものの、パネルの周囲をすべて囲む必要があり、施工には専門業者が必要です。特に2階建て以上の屋根では足場を組む必要があり、この足場代だけでも10万円前後かかります。
設置業者によっては最初から防鳥対策をオプションで提案してくれるところもありますが、多くの場合は「設置後に問題が出てから対応」となるため、後手に回りがちです。筆者の場合も、契約時には一切そのような話は出ませんでした。
事前対策が重要
鳥害は地域や周辺環境によって発生リスクが大きく異なります。近隣に公園や森林がある、鳩が多く見られる地域、餌やりをしている人がいる地域では、設置時から防鳥ネットやバードブロック(パネルと屋根の隙間を埋める部材)の導入を検討すべきです。
後付けよりも初期施工時に組み込む方が、足場を二重に組む必要がないため、コストも3〜5万円程度抑えられます。見積もり段階で必ず「防鳥対策は必要か」を業者に確認し、周辺環境を考慮した提案をしてもらうことをおすすめします。
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金」メニュー
| エコキュート | 補助金 | お見積り・お問合せ |
|---|---|---|
|
お見積り|太陽光 |
パワコン故障に気づかない落とし穴「片方だけ停止していた」

2台設置でも1台の停止に気づかなかった
筆者宅では9.8kWのシステムを2台のパワーコンディショナー(パワコン)で管理していますが、ある月の売電明細を見たときに「今月はやけに少ないな」と感じました。天候が悪かったのかと思い気にしていなかったのですが、翌月も同様に少なく、さすがにおかしいと思い発電モニターを詳しく確認しました。
すると、なんと2台のうち1台のパワコンが数ヶ月前から動作していなかったのです。発電量が通常の半分程度になっており、推定で3〜4万円分の売電機会を逃していました。
通常、パワコンが完全停止すればアラームが鳴るはずですが、もう1台が正常に稼働していたため、システム全体としてはエラー扱いにならず、異常を知らせる通知は一切ありませんでした。つまり、発電量が半分近くになっているにもかかわらず、気づくのが遅れたのです。
モニター画面を見ると、停止しているパワコンには小さく「点検」の表示が出ていましたが、日常的にチェックする習慣がなかったため、完全に見落としていました。
発電量の日々チェックが必須
この経験から学んだのは、発電量や売電量を「日常的にチェックする習慣」の重要性です。多くのモニタリングシステムはスマホアプリで発電状況を確認できますが、毎日見る習慣がないと、異常に気づくのが遅れます。
筆者は現在、毎朝の日課として前日の発電量をスマホでチェックするようにしています。異常に少ない日があれば、天候を確認し、晴れているのに発電量が少なければすぐに点検するという流れです。これにより、小さな不具合でも早期発見できるようになりました。
特に、複数のパワコンを使用している場合は、各機器ごとの稼働状況を個別に確認できる仕組みが必要です。一部の機器だけが停止しても全体のアラートが鳴らない設計になっているケースもあるため、導入時にモニタリング仕様をしっかり確認しておくべきでした。
保証期間内でも気づかなければ損失
幸い筆者の場合は保証期間内だったため、パワコン本体の修理費用は無料でした。原因は内部基板の不具合で、メーカーの無償交換対応となりました。しかし、停止していた期間の売電収入(推定で3〜4万円)は当然戻ってきません。早期発見していれば防げた損失です。
保証があるから安心ではなく、不具合を早く見つけることこそが経済的損失を防ぐ鍵なのだと痛感しました。
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金」メニュー
| エコキュート | 補助金 | お見積り・お問合せ |
|---|---|---|
|
お見積り|太陽光 |
想定外のメンテナンス・修理費用「保証でカバーされない項目が多い」

保証内容の”盲点”
太陽光発電には通常、機器保証(10〜15年)や出力保証(20〜25年)が付いていますが、すべてのトラブルがカバーされるわけではありません。筆者も「保証があるから大丈夫」と思っていましたが、実際に細かい約款を読んでみると、対象外の項目が想像以上に多いことに驚きました。
例えば、以下のようなケースは保証対象外となることが多いです:
– 鳥害や飛来物による損傷(前述の鳩被害も対象外でした)
– 台風や豪雪などの自然災害による破損(火災保険でカバーされる場合もありますが、別途手続きが必要)
– 経年劣化による配線の不具合(「通常の劣化」と判断されると有償修理)
– ケーブル接続部の腐食や緩み
– パネル表面の汚れや落ち葉の堆積による発電効率低下
つまり、パネルやパワコン本体の初期不良や明らかな製品欠陥は保証されますが、使用環境や経年による問題は自己負担となるケースが多いのです。
定期メンテナンス費用も忘れずに
太陽光パネル自体は「メンテナンスフリー」と言われがちですが、実際には定期的な点検が推奨されています。筆者も4年目に初めて専門業者による点検を依頼しましたが、費用は約3万円でした。 点検内容は、パネル表面の汚れ具合、配線の接続状態、パワコンの動作確認、絶縁抵抗測定などです。特に、接続部の緩みや腐食は発電効率低下の原因となるため、数年に一度のチェックは必要です。点検の結果、ケーブルの接続部が1箇所緩んでおり、締め直してもらったことで発電量が若干回復しました。 メーカーや設置業者によっては有償の定期メンテナンスプランを用意していることもあります。年間1〜2万円程度で、定期点検とトラブル時の優先対応をセットにしたプランなどです。長期的に安心して運用したい場合は、こうしたプランへの加入も検討する価値があります。
修理時の足場代が高額
屋根上の設備であるため、何か修理が必要になった際には足場を組む費用が別途かかります。足場代だけで10万円を超えることもあり、小さな修理でも「部品代1万円+工賃2万円+足場代10万円=合計13万円」といったように、トータルコストが膨らむ要因になります。このため、複数の修理や点検が必要な場合は、一度にまとめて実施する方が経済的です。筆者も次回は、パネル清掃、配線点検、防鳥ネットの補修を同時に依頼する予定です。
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金」メニュー
| エコキュート | 補助金 | お見積り・お問合せ |
|---|---|---|
|
お見積り|太陽光 |
近隣トラブル「反射光で苦情が来た」

設置後に発覚する反射光問題
太陽光パネルは光を受けて発電する装置ですが、設置角度や周辺環境によっては、強い反射光が隣家の窓や庭に差し込むことがあります。筆者の知人宅では、設置後1ヶ月ほどして隣家から「午後2時から3時頃になると眩しくて窓が開けられない。カーテンを閉めても光が強すぎて困っている」と苦情が入り、対応に追われたそうです。
知人は誠意を見せるため、まず隣家を訪問して状況を確認しました。確かに特定の時間帯、パネルからの反射光が隣家のリビングに直撃しており、室内が眩しくて過ごせない状態でした。
事前のシミュレーション不足
施工業者は発電効率を優先してパネルの角度を決めるため、反射光がどこに向かうかまでは十分に検討されないケースがあります。特に、住宅密集地では隣家との距離が近く、反射光トラブルが起きやすい環境です。
知人の場合、業者に相談したところ「設置前のシミュレーションでは反射光は考慮していなかった」と言われ、責任の所在が曖昧なまま、結局自己負担での対応を余儀なくされました。
対策としては、設置前に太陽の軌道をシミュレーションし、反射光の影響範囲を確認しておくことが重要です。最近では、3Dシミュレーションソフトで反射光の方向や強さまで計算できるツールもあります。場合によっては、パネルの設置位置や角度を調整する、あるいは反射しにくい表面加工のパネルを選ぶ必要があります。
対応策は限られる
一度設置してしまうと、パネルの角度変更や移設には多額の費用がかかります。知人の場合は、隣家側に植栽を追加して視線と光を遮る方法で妥協しました。費用は約8万円でしたが、根本的な解決にはなっていません。反射光を軽減するフィルムを貼る方法もありますが、発電効率が5〜10%下がる可能性もあるため慎重な判断が必要です。近隣関係を良好に保つためにも、設置前の入念な確認と、必要であれば隣家への事前説明が重要だと痛感しました。
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金」メニュー
| エコキュート | 補助金 | お見積り・お問合せ |
|---|---|---|
|
お見積り|太陽光 |
売電収入が想定より少ない理由「シミュレーションと現実の乖離」

シミュレーション値は”理想条件”
導入時のシミュレーションでは「年間12万円の売電収入」と試算されていましたが、実際の初年度の売電収入は約9万円でした。約75%の達成率です。これは理想的な日照条件を前提にした数値であり、実際には、天候の変動、パネルの汚れ、影の影響、経年劣化などにより、シミュレーション値の80〜90%程度になることが一般的とされています。
業者からは「シミュレーションは目安です」という説明はありましたが、具体的にどの程度の乖離があり得るかは明示されていませんでした。
影の影響は想像以上
筆者宅でも、冬場の朝方に隣家の建物の影がパネルの一部にかかることで、発電量が大きく低下する時間帯があります。特に、11月から1月にかけては太陽の高度が低く、9時頃までパネルの約3割が影になります。
わずかな影でも、直列接続されたパネル全体の出力が下がる「影響の連鎖」が起きるため、設置前の影のシミュレーションは非常に重要です。夏場は問題なくても、冬場に大きな影響が出るケースもあるため、年間を通じた影の動きを確認すべきでした。
設置業者によっては「影シミュレーション」を無料で実施してくれるところもあります。Googleの「Project Sunroof」のようなツールを使えば、自分でもある程度確認できます。
電力プランの選択ミス
売電収入を最大化するには、適切な電力プランの選択も欠かせません。筆者は当初、深夜電力が安いプランを選んでいましたが、日中は仕事で不在のため電気使用量が少なく、自家消費率が低い状態でした。結果として、発電した電気の大部分を安い価格で売電することになり、経済メリットが想定より小さくなりました。
その後、日中の電気料金が高めで売電価格とのバランスが良いプランに変更したところ、年間で約1.5万円ほど収支が改善しました。ライフスタイルに合わせたプラン選びと、蓄電池の導入なども含めたトータル設計が重要です。
また、固定価格買取制度(FIT)の買取価格は年々下がっています。筆者が契約した当時は1kWhあたり28円でしたが、現在は16円前後まで下がっており、今後導入する方は売電収入への期待値を現実的に設定する必要があります。
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金」メニュー
| エコキュート | 補助金 | お見積り・お問合せ |
|---|---|---|
|
お見積り|太陽光 |
事前に知っておけば防げるトラブルばかり

情報収集と事前対策が成功の鍵
太陽光発電は長期的には大きなメリットをもたらす投資ですが、設置後に想定外のトラブルに見舞われると、精神的にも経済的にも負担が大きくなります。今回紹介した5つのトラブルは、いずれも事前の情報収集と対策で防げたり、被害を最小限に抑えられたりするものばかりです。
特に重要なのは、業者任せにせず、自分自身で情報を集め、疑問点は契約前に徹底的に確認することです。「後から対応すればいい」という姿勢では、結果的に高くつくケースが多いのです。
導入前にチェックすべきポイント
– 鳥害対策:
周辺環境を確認し、必要なら初期施工時に防鳥ネットを導入。近隣で鳩被害の実例がないか調査する
– モニタリング体制:
各機器の個別稼働状況を日常的に確認できる仕組みを構築。スマホアプリの使いやすさも重要
– 保証内容の確認: 何がカバーされ、
何が対象外かを細かく確認。曖昧な表現は必ず質問する
– 反射光シミュレーション:
隣家への影響を事前に検証。必要であれば隣家にも説明しておく
– 現実的な収支計画:
理想値の80%程度を想定し、シミュレーション値を鵜呑みにしない
– 影の影響:
冬場も含めた年間の影の動きを確認。朝夕の低い太陽角度にも注意
長期的視点で判断を
太陽光発電は20年、30年と使い続ける設備です。初期投資だけでなく、ランニングコストやトラブル対応費用も含めて、トータルで判断することが大切です。筆者自身、様々なトラブルを経験しましたが、それでも長期的には導入して良かったと感じています。
ただし、それは「想定外の出費があっても回収できる」という前提があってこそです。これから導入を検討される方は、本記事で紹介したようなリアルなトラブル事例も踏まえた上で、慎重に判断していただければと思います。
























