
「42円→8円」の衝撃、あなたはどう動く?
2009年にスタートしたFIT制度により、太陽光発電を設置した多くの家庭が「10年間の高額売電」を経験しました。1kWhあたり42円、48円という魅力的な価格で電気を売り、月2万円前後の副収入を得ていた方も珍しくありません。
しかし、2019年以降、この「蜜月期間」が次々と終了しています。2025年現在、累計で300万件以上の家庭がFIT期間を満了し、買取価格は7〜10円程度へと急落。実に9割近い減額です。
「何もしない」で年間10万円の機会損失
多くの方が見落としているのが、「放置することのコスト」です。卒FIT後も自動的に余剰電力は買い取られますが、その単価の低さゆえに、年間で10万円以上の経済的機会損失が発生している可能性があります。
卒FIT後の3つの主要な選択肢を徹底比較し、あなたの家庭にとって最適な道を見つけるための具体的な判断基準を提示します。
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【比較表】卒FIT後の3つの選択肢

まず、3つの主要な選択肢を数値で比較してみましょう。前提条件は、年間発電量5,000kWh、4人家族、月間電気使用量400kWhとします。
①そのまま売電継続(8円/kWh)
• 年間売電収入:約40,000円
• 初期投資:0円
• 手間:なし
• 経済効果:★☆☆☆☆
②自家消費型に転換(自家消費率50%想定)
• 電気代削減:年間約75,000円(2,500kWh × 30円)
• 残り売電収入:約20,000円(2,500kWh × 8円)
• 合計メリット:約95,000円
• 初期投資:0〜数万円(生活パターン変更のみ)
• 手間:生活習慣の調整が必要
• 経済効果:★★★☆☆
③蓄電池導入(自家消費率70%想定)
• 電気代削減:年間約105,000円(3,500kWh × 30円)
• 残り売電収入:約12,000円(1,500kWh × 8円)
• 合計メリット:約117,000円
• 初期投資:100〜200万円(補助金活用後)
• 手間:ほぼなし(自動運用)
• 経済効果:★★★★☆(長期的には★★★★★)
①と②の差額は年間約55,000円。10年間で55万円の差です。 ①と③の差額は年間約77,000円。蓄電池の投資回収は約13〜15年ですが、災害対策の価値も考慮すれば十分に合理的です。
重要なのは、「何もしない①」を選ぶことが、実は「年間5〜8万円を捨てている」ことと同じだという認識です。
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選択肢①:そのまま売電継続は「あり」か?

決して悪い選択ではないケースもあります。以下に該当する家庭では、無理に変更する必要はないかもしれません。
日中ほぼ不在で電気を使わない:共働きで平日昼間は誰もいない、子どもも学校で不在——このような家庭では、昼間に電気を使う余地が少なく、自家消費の恩恵を受けにくいです。
システムの寿命が近い:設置から15年以上経過しており、あと数年で更新を検討している場合、大きな変更を避けたい気持ちも理解できます。
とにかく手間をかけたくない:高齢で生活パターンを変えるのが難しい、忙しくて検討する時間がないなど、「現状維持」に価値を置く方もいます。
それでも「買取先の見直し」だけはすべき
売電を続ける場合でも、買取価格が1円でも高い事業者を選ぶべきです。大手電力会社が7円なら、新電力が9円を提示しているケースもあります。
年間5,000kWhで計算すれば、2円の差で年間1万円、10年で10万円の差になります。手続きは30分程度で完了するため、「やらない理由がない」レベルの簡単な対策です。
「売電継続」のメリット・デメリット
メリット: 手間がかからない、初期投資不要、生活パターンを変えなくていい、システムへの追加負担なし
デメリット: 経済的メリットが最も小さい、電気代高騰の恩恵を受けられない、機会損失が大きい
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選択肢②:自家消費型への転換は「王道」

初期投資ゼロで年間5万円以上の効果
自家消費型への転換の最大のメリットは、初期投資がほぼ不要なことです。生活パターンの見直しと、家電のタイマー設定だけで、年間5〜8万円の経済効果が得られます。
投資回収期間ゼロ、リスクゼロで、即座に効果が出る——これほど確実な「節約術」は他にありません。
具体的な実践方法:時間帯を意識する
9時〜15時を「発電ゴールデンタイム」と考える
この時間帯に以下の家電を集中させます。
洗濯機:朝食後の9時にタイマーセット。洗濯〜乾燥まで昼間に完了。
食器洗い機:朝食後と昼食後に稼働。夜は手洗いで済ませるか、翌朝まで待つ。
掃除機・ロボット掃除機:10時に自動スタート。不在時でも問題なし。
エコキュート:深夜沸き上げから昼間沸き上げに設定変更。これだけで月1,000円以上の削減効果。
炊飯器:昼食用に11時炊飯、夕食用に15時炊飯(保温で夕方まで)。
在宅ワーカーは特に有利
在宅ワークの方は、自然と昼間に電気を使うため、自家消費型との相性が抜群です。
エアコン、パソコン、デスクライト、コーヒーメーカー——仕事で使う電気がすべて太陽光で賄えます。「仕事しながら電気代が減る」という一石二鳥の状態です。
週末の「まとめ家事」も効果的
平日は昼間不在でも、週末は在宅の家庭が多いはずです。土日の昼間に1週間分の「まとめ家事」を行うことで、自家消費率を高められます。
週末の午前中に洗濯2〜3回、掃除、アイロンがけ、作り置き料理。これらを太陽光の時間帯に集中させるだけで、月の自家消費率が5〜10%向上します。
「自家消費型」のメリット・デメリット
メリット: 初期投資ほぼゼロ、即効性がある、電気代削減効果が大きい、ライフスタイルの見直しで健康的な生活にもつながる
デメリット: 生活習慣の変更が必要、夜間の電気は従来通り購入、家族の協力が必要、自家消費率には限界がある(50%前後)
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選択肢③:蓄電池導入は「本気組」向け

投資額100万円超でも「ペイする」理由
蓄電池の導入は、確かに大きな初期投資が必要です。しかし、以下の3つの価値を総合的に考えれば、十分に合理的な投資です。
①経済価値:自家消費率70%達成で、年間8〜12万円の経済効果。10〜15年で投資回収。
②災害価値:停電時に2〜3日間の電力供給が可能。家族の安全を守る「保険」として機能。
③環境価値:CO2排出を大幅削減。持続可能な生活への貢献。
卒FITは蓄電池導入の「ベストタイミング」
実は、卒FIT時が蓄電池を導入する最適なタイミングです。理由は3つあります。
理由①:売電のメリットが薄い 8円で売るくらいなら、蓄電池に貯めて夜に使う方が合理的(30円の価値)。
理由②:補助金が手厚い 卒FIT向けの蓄電池補助金を提供している自治体が多い。通常より有利な条件で導入できます。
理由③:システム全体の最適化 FIT期間中は売電優先だったが、卒FIT後は自家消費優先に方針転換。蓄電池はその中核を担います。
容量選びの目安:7〜10kWhが主流
蓄電池の容量は、家族構成と予算で決めます。
7kWh:夫婦2人、3人家族。夜間の基本的な電気(冷蔵庫、照明、テレビ)を賄える。価格100〜150万円。
10kWh:4人家族。夜間のエアコン使用も可能。停電時も2日間対応。価格150〜200万円。
12kWh以上:大家族、在宅医療機器使用、災害対策重視。価格200万円超。
迷ったら、10kWhクラスを選んでおけば、ほとんどの家庭で満足できます。
「蓄電池導入」のメリット・デメリット
メリット: 自家消費率が最高(70%以上)、手間がかからない(自動運用)、災害対策として安心、電気代を大幅削減、夜間も太陽光の恩恵
デメリット: 初期投資が高額、投資回収に10年以上、設置スペースが必要、蓄電池の寿命(10〜15年)後に交換費用
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判断基準:あなたに最適な選択肢は?

フローチャートで考える
以下の質問に答えて、最適な選択肢を見つけましょう。
Q1:日中(9時〜15時)に家にいる時間は?
• ほぼ毎日在宅 → 自家消費型★★★
• 週2〜3日在宅 → 自家消費型★★
• ほぼ不在 → 売電継続 or 蓄電池
Q2:100万円以上の投資は可能?
• 可能 → 蓄電池★★★
• 厳しい → 自家消費型★★★
• 絶対に避けたい → 売電継続
Q3:災害対策をどう考える?
• 非常に重視 → 蓄電池★★★
• ある程度重視 → 蓄電池★★
• あまり気にしない → 自家消費型 or 売電継続
Q4:生活パターンを変える意欲は?
• 積極的に変えたい → 自家消費型★★★
• 少しなら → 自家消費型★★
• 変えたくない → 蓄電池 or 売電継続
タイプ別おすすめ
コスパ重視タイプ:自家消費型がベスト。初期投資ゼロで最大効果。
利便性重視タイプ:蓄電池導入。自動で最適運用、手間なし。
現状維持タイプ:売電継続。ただし買取先は見直す。
災害対策タイプ:蓄電池一択。安心感は何物にも代えがたい。
環境意識タイプ:自家消費型または蓄電池。CO2削減に貢献。
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実例:3つの家庭の選択と結果

事例A:自家消費型を選択(東京都・Aさん夫婦)
状況:夫婦とも在宅ワーク、子どもなし 選択:自家消費型に転換(蓄電池なし) 実践:昼間に集中的に家電使用、夜間は最小限
結果: 自家消費率:55%達成 電気代:月12,000円 → 月5,000円 年間削減:約84,000円 投資額:0円 満足度:★★★★☆ Aさん「在宅ワークなので自然と昼間に電気を使います。意識するだけで電気代が半額以下に。蓄電池なしでも十分満足です」
事例B:蓄電池を導入(千葉県・Bさん一家4人)
状況:夫婦共働き、小学生2人、昼間は不在 選択:蓄電池10kWh導入 投資:150万円(補助金50万円利用)
結果: 自家消費率:72%達成 電気代:月15,000円 → 月4,000円 年間削減:約132,000円 投資回収:約11年 満足度:★★★★★ Bさん「昼間不在なので蓄電池が必須でした。停電の不安もなくなり、子どもの教育にも良い影響があります」
事例C:売電継続を選択(福岡県・Cさん夫婦)
状況:70代夫婦、生活パターンを変えたくない 選択:売電継続(買取先を変更) 変更:大手電力7円 → 新電力9円
結果: 年間売電収入:35,000円 → 45,000円 年間差額:+10,000円 手間:30分の手続きのみ 満足度:★★★☆☆ Cさん「大きな変化は望まないが、買取先変更だけで1万円増えたのは嬉しい。簡単でした」
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まとめ:卒FITは「チャンス」と捉えよう

「損する側」か「得する側」かは行動次第
卒FIT後、何もせず放置する人と、最適な選択をする人では、年間で5〜10万円、10年で50〜100万円もの差が生まれます。 重要なのは、「完璧な選択」ではなく、「何かしらのアクション」を取ることです。
複数の業者から提案を受ける、自治体の補助金を調べる、実際に卒FITを経験した知人に話を聞く。まずは情報を集めることから始めましょう。
情報収集にコストはかかりません。動き始めることが、最良の結果への第一歩です。























