太陽光発電は多くの家庭に経済的メリットと環境価値をもたらす優れた設備です。しかし、設置後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する家庭が一定数存在するのも事実です。
設置前には気づかなかった問題が、設置後に顕在化する。業者の説明不足や施工不良により、想定外のトラブルが発生する。こうしたケースは、実は決して珍しくありません。
トラブルの多くは「業者選び」で防げる
重要なのは、これらのトラブルの多くが「適切な業者選び」によって防げるという点です。信頼できる業者は、事前に起こりうるリスクを丁寧に説明し、適切な対策を講じた上で施工します。
一方、不誠実な業者や技術力の低い業者は、都合の悪い情報を隠したり、手抜き施工をしたりすることで、後々のトラブルの種を蒔いてしまいます。
実際に起こった太陽光パネル設置後のトラブル事例を5つ紹介します。鳥害による被害、近隣とのトラブル、保証が受けられない問題、雨漏り、想定より発電しない——これらの具体的な事例と、その予防策を詳しく解説します。これから太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひこれらの事例を参考に、後悔しない業者選びをしてください。
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トラブル①：鳥の糞害・営巣で発電効率が激減
太陽光パネル下に鳥が巣を作ってしまった
埼玉県在住のAさん（50代）は、2022年に太陽光発電を設置しました。設置から半年ほど経った頃、発電量が徐々に低下していることに気づきました。
屋根に上がって確認したところ、太陽光パネルと屋根の隙間に鳥が巣を作り、大量の糞が太陽光パネル表面に付着していたのです。鳥はハトで、一度営巣すると同じ場所に繰り返し戻ってきます。
清掃費用と防鳥ネット設置で30万円超
太陽光パネルの清掃と巣の撤去、そして再発防止のための防鳥ネット設置に、合計30万円以上の費用がかかりました。この費用は当初の予算に含まれておらず、予想外の出費となりました。
さらに、鳥害による発電量低下が数ヶ月続いたことで、その間の経済損失も発生しています。トータルで40万円近い損失となってしまいました。
なぜこのトラブルが起きたのか
Aさんが依頼した業者は、事前の現地調査で周辺環境をしっかり確認していませんでした。Aさん宅の近くには公園があり、ハトが多く生息する環境だったのです。
また、太陽光パネル設置の際に、鳥が入り込めないよう隙間を塞ぐ「防鳥対策」を施していませんでした。これは追加費用がかかるため、業者が提案しなかったのです。
防ぐためにはどうすべきだったか
信頼できる業者であれば、現地調査の段階で「この地域は鳥が多いので、防鳥対策が必要です」と提案してくれたはずです。初期費用は数万円追加になりますが、後から30万円以上かけて対処するよりはるかに安く済みます。
具体的な対策としては、パネルと屋根の隙間を専用の防鳥部材で塞ぐ、パネル周囲に防鳥ネットを設置する、定期的な点検と清掃を契約に含めるなどがあります。
鳥害リスクが高い地域とは
公園や森林、河川の近く、住宅密集地（ハトが多い）、田園地帯（カラスが多い）——これらの地域では鳥害のリスクが高くなります。
見積もり時に業者に「この地域での鳥害対策は必要ですか？」と質問し、具体的な対策を提案してもらいましょう。「特に必要ない」と即答する業者は要注意です。
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トラブル②：反射光で近隣住民とトラブル
隣家から「眩しい」とクレーム
神奈川県在住のBさん（50代）は、2024年に太陽光発電を設置しましたが、設置から2ヶ月後、隣家から「朝、パネルの反射光が眩しい。どうにかならないか」とクレームを受けました。確認すると、朝の特定の時間帯に、太陽光パネルからの反射光が隣家のリビング窓に直接当たっていることが判明しました。隣家にとっては、毎朝眩しい光で起こされる状態だったのです。
角度調整と遮光フィルムで15万円
近隣トラブルを避けるため、Bさんは業者に相談し、パネルの角度を微調整することになりました。また、どうしても完全に防げない部分については、遮光フィルムを貼る対処を行いました。この作業に15万円の追加費用がかかりました。また、隣家への謝罪と菓子折りを持参するなど、精神的な負担も大きなものでした。
なぜこのトラブルが起きたのか
業者が設置前に「反射光シミュレーション」を行っていなかったことが原因です。太陽の軌道、パネルの角度、周辺建物の位置、これらを考慮すれば、反射光がどこに当たるかは事前に予測できます。
Bさんが依頼した業者は、発電効率を最優先に角度を決定し、反射光への配慮が不足していました。また、事前の近隣への説明も行っていませんでした。
防ぐためにはどうすべきだったか
設置前に、業者に「反射光のシミュレーション」を依頼しましょう。専門的なソフトウェアを使えば、年間を通じてどの時間帯にどこに反射光が当たるかを可視化できます。
もし問題がある場合は、パネルの角度や設置位置を調整したり、反射防止フィルムを最初から貼っておいたりする対策が必要です。また、設置前に近隣住民に説明し、了承を得ておくことも重要です。
反射光トラブルが起きやすいケース
隣家が近い住宅密集地、2階以上にパネルを設置する場合、南向き以外（東向き・西向き）にパネルを設置する場合、これらのケースでは反射光のリスクが高まります。
「うちは大丈夫だろう」と思い込まず、必ず業者にシミュレーションを依頼し、客観的なデータで安全性を確認しましょう。
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トラブル③：保証が受けられない！施工業者の落とし穴
パワコンが故障したのに保証対象外
大分県在住のCさん（30代）は、設置から7年目にパワーコンディショナーが故障しました。メーカー保証は10年ついているため、無償で修理してもらえると思い、業者に連絡しました。
ところが、パワーコンディショナーの故障で原因もわからないため対象外とのこと。
修理費21万円を自己負担
結局、Cさんは21万円の修理費用を自己負担することになりました。
なぜこのトラブルが起きたのか
業者は契約時に保証内容を詳しく説明しておらず、Cさんも保証書の細かい条項を読んでいませんでした。「メーカー保証10年」という言葉だけで安心してしまったのです。
防ぐためにはどうすべきだったか
契約時に、保証の詳細条件を必ず確認しましょう。「保証を受けるために必要な条件は何ですか？」と明確に質問することが重要です。
保証トラブルを避けるチェックポイント
保証書の全文を必ず読む、保証の条件（点検義務など）を確認する、保証期間と保証内容を明確にする、施工保証とメーカー保証の違いを理解する、業者の倒産時の保証継続性を確認する——これらのポイントを押さえることで、保証トラブルは大幅に減らせます。
保証は「あればいい」ものではなく、「いざという時に確実に使えるもの」でなければ意味がありません。表面的な保証年数だけでなく、実質的な保証内容を見極めましょう。
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トラブル④：シミュレーションと実際の発電量が全然違う
年間発電量が予測の70%しかない
静岡県在住のEさん（500代）は、業者のシミュレーションで「年間5,200kWh発電します」と説明を受けて契約しました。しかし、実際に1年間運用してみると、発電量は3,450kWh程度しかありませんでした。
予測の約70%。これでは経済効果が大幅に減少し、投資回収計画が狂ってしまいます。Eさんは業者に説明を求めましたが、「天候が悪かったからでしょう」とあいまいな回答しか得られませんでした。
原因は不適切なパネル配置と周辺の影
専門家に調査を依頼したところ、複数の問題が見つかりました。まず、パネルの一部が午前中に隣家の陰になる配置になっていました。また、近隣に後から建った建物の影響も受けていました。
さらに、パネルの角度が最適化されておらず、発電効率が低下していることも判明しました。これらの問題を総合すると、発電量が30%減少するのも納得できる状態でした。
なぜこのトラブルが起きたのか
業者のシミュレーションが杜撰だったことが主な原因です。実際の現地調査を十分に行わず、標準的な数値をそのまま提示していたと考えられます。
また、周辺建物の影響や、将来的に建物が建つ可能性なども考慮していませんでした。「売るため」のシミュレーションであり、「正確に予測する」ためのシミュレーションではなかったのです。
防ぐためにはどうすべきだったか
シミュレーションの根拠を詳しく確認することが重要です。「どのようなデータに基づいて計算しているのか？」「周辺環境の影響は考慮しているのか？」「季節ごとの影の影響は？」——こうした質問に明確に答えられる業者を選びましょう。
また、複数の業者からシミュレーションを取り、比較することも有効です。他社より極端に高い発電量を提示する業者は、過大な見積もりをしている可能性があります。
現実的なシミュレーションの見分け方
信頼できるシミュレーションには、以下の要素が含まれています。
実際の屋根の方位・角度・面積に基づく計算、周辺建物による影の影響の考慮、地域の日射量データの使用、季節ごとの発電量予測、悪天候を考慮した現実的な数値——これらが明記されているシミュレーションは信頼性が高いと言えます。
逆に、「絶対に○○kWh発電します」と断言する業者や、根拠不明の楽観的な数値を提示する業者は要注意です。
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後悔しない業者選び5つのチェックポイント
①施工実績と事業年数を確認
最低でも5年以上の事業歴があり、100件以上の施工実績がある業者を選びましょう。新規参入業者や実績が少ない業者は、技術力や経験に不安があります。
ホームページや資料で実績を確認し、可能であれば実際の施工事例を見せてもらいましょう。近隣での施工実績があれば、なお安心です。
②現地調査を丁寧に行うか
信頼できる業者は、契約前に必ず丁寧な現地調査を行います。屋根の状態、方位、角度、周辺環境、影の影響、屋根材の種類——これらを1〜2時間かけて詳しく調べます。
逆に、現地調査が30分以内で終わる、図面やネット上の航空写真だけで見積もりを出す業者は要注意です。
③デメリットやリスクも説明するか
良い業者は、メリットだけでなくデメリットやリスクも正直に説明してくれます。「この屋根は鳥害のリスクがあります」「この角度だと反射光の問題が起きる可能性があります」——こうした不利な情報も隠さず伝える誠実さが重要です。
いいことばかり言って、リスクに一切触れない業者は、契約を取ることしか考えていない可能性があります。
④施工保証とメーカー保証の両方を確認
施工保証（雨漏り、設置不良など）とメーカー保証（製品の不具合）は別物です。両方の内容を詳しく確認し、保証期間、保証範囲、保証の条件を明確にしましょう。
また、業者が倒産した場合の保証継続性も重要です。保証保険に加入している業者であれば、倒産後も保証が継続されます。
⑤アフターサービス体制が充実しているか
設置後の定期点検、トラブル時の対応、発電量のモニタリングサービス——これらのアフターサービスが充実している業者を選びましょう。
特に、24時間対応の連絡窓口がある、地域に営業所があり迅速に駆けつけられる、定期点検が無料または低価格で含まれている——こうした要素は長期的な安心につながります。
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まとめ：トラブルの9割は業者選びで防げる
安さだけで選ぶと後悔する
本記事で紹介した5つのトラブルに共通するのは、「安さや営業トークに惹かれて、業者の質を見極めなかった」という点です。初期費用を10〜20万円ケチった結果、後から数十万円の出費や精神的負担を強いられるのは本末転倒です。
太陽光発電は20年以上使う設備です。目先の価格差より、長期的な信頼性とサポート体制を重視すべきです。
「おかしい」と思ったら契約しない勇気
見積もり内容が不明瞭、質問にあいまいな回答しかしない、契約を急がせる、他社との比較を嫌がる——こうした「おかしいな」と感じるサインがあったら、契約しない勇気を持ちましょう。
一度契約してしまうと、取り返しがつきません。少しでも不安があれば、他の業者も検討するべきです。
複数社の見積もりと比較が必須
最低でも3社以上から見積もりを取り、価格だけでなく、提案内容、説明の丁寧さ、アフターサービスなど、総合的に比較しましょう。
相見積もりを取ることで、適正価格が分かり、各社の対応の質も見えてきます。「相見積もりは失礼」などと考える必要はありません。大きな買い物だからこそ、慎重に選ぶのは当然です。
後悔しない太陽光ライフを
適切な業者を選べば、太陽光発電は家計を支え、環境に貢献する素晴らしい設備です。本記事で紹介したトラブル事例を参考に、同じ失敗を繰り返さないよう、慎重かつ賢明な業者選びをしてください。
「安心」と「満足」を手に入れるために、時間をかけて業者を選ぶ価値は十分にあります。
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万が一他社の方が安かったら更にお値引きのご相談も承ります。
