太陽光発電の「電圧抑制」とは?知らないうちに発電が低下する原因と対策

投稿日:2025年12月15日

太陽光発電の「電圧抑制」とは?知らないうちに発電が低下する原因と対策

太陽光発電システムを設置したものの、「シミュレーション通りに発電していない」「晴天なのに発電量が伸びない」という声を聞くことがあります。その原因の一つが「電圧抑制」です。電圧抑制とは、電力系統の電圧が上昇しすぎた際に、パワーコンディショナーが自動的に発電を停止または抑制する現象です。

この問題は、太陽光発電が普及した地域や、電力需要が少ない昼間の時間帯に発生しやすく、知らないうちに発電機会を損失していることがあります。本記事では、電圧抑制が起きる仕組み、どのような地域で発生しやすいのか、そして対策方法について詳しく解説します。


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電圧抑制とは何か?発生する仕組み

電力系統における電圧の基準

日本の電力系統では、一般家庭に供給される電圧は100Vまたは200Vと定められていますが、実際には一定の変動幅が許容されています。電気事業法では、95Vから107V(単相100V)、190Vから214V(単相200V)の範囲内に収めることが求められています。この範囲を超えると、家電製品の故障や火災のリスクが高まるため、厳格に管理されています。

電圧は、電力の需給バランスによって変動します。電力消費が多い時間帯は電圧が下がりやすく、逆に消費が少ない時間帯は電圧が上がりやすくなります。特に、太陽光発電が多く導入された地域では、晴天の昼間に大量の電力が系統に流れ込むため、電圧が上昇しやすいのです。

パワコンの自動停止機能

太陽光発電のパワーコンディショナーには、電力系統の電圧を常時監視する機能が搭載されています。電圧が107V(または214V)を超えると、系統への悪影響を防ぐため、自動的に発電を停止または出力を抑制します。これが「電圧抑制」です。

電圧抑制が発生すると、パワコンのモニターに「電圧抑制中」「系統連系停止」などのエラー表示が出ます。しかし、多くの家庭ではモニターを日常的に確認していないため、抑制が発生していることに気づかないまま、発電機会を逃しているケースが少なくありません。

出力抑制との違い

電圧抑制と混同されやすいのが「出力抑制」です。出力抑制は、電力会社が系統全体の需給バランスを調整するために、太陽光発電事業者に対して発電量を減らすよう指示するものです。主に大規模太陽光発電所が対象で、一般家庭の住宅用太陽光には適用されないケースがほとんどです。

一方、電圧抑制は各家庭のパワコンが自律的に判断して発動するため、電力会社からの指示は不要です。つまり、住宅用太陽光でも日常的に発生する可能性がある問題なのです。

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電圧抑制が起きやすい地域と時間帯

電圧抑制が起きやすい地域と時間帯

郊外・農村部で発生しやすい理由

電圧抑制は、都市部よりも郊外や農村部で発生しやすい傾向があります。その理由は、電力系統の構造にあります。郊外や農村部では、変電所から各家庭までの配電線が長く、電圧降下が大きくなりがちです。そのため、電力会社は変電所の電圧を高めに設定しています。

しかし、太陽光発電が普及すると、昼間は各家庭から電力が逆流します。この逆潮流により、配電線の末端部分で電圧が上昇し、107Vを超えてしまうことがあるのです。特に、太陽光発電の設置率が高い地域では、複数の家庭から同時に電力が流れ込むため、電圧上昇がより顕著になります。

住宅密集地でも発生するケース

一方、住宅密集地でも電圧抑制は発生します。特に、新興住宅地で太陽光発電の設置率が高い場合、配電線の容量が需要に対して不足することがあります。また、古い住宅地では、配電設備が老朽化しており、電圧変動が大きくなりやすいという問題もあります。

さらに、近隣に大きな工場やオフィスビルがあった場合、平日昼間はそこで電力が消費されるため電圧が安定しますが、休日や夏季休暇中は電力消費が激減し、電圧が上昇しやすくなります。このように、住宅密集地でも条件次第で電圧抑制が発生するのです。

発生しやすい時間帯と季節

電圧抑制が最も発生しやすいのは、晴天の昼間、特に午前10時から午後2時の時間帯です。この時間帯は太陽光発電の出力がピークに達する一方、家庭の電力消費は比較的少ないため、電圧が上昇しやすいのです。

季節別では、春と秋に発生しやすい傾向があります。これらの季節は気温が穏やかで、冷暖房の使用が少なく、電力消費が減るためです。一方、真夏は冷房需要が高いため、発電した電力がその場で消費され、電圧上昇が抑えられる傾向があります。

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電圧抑制による発電損失の実態

電圧抑制による発電損失の実態

年間でどれくらいの損失が出るのか

電圧抑制による発電損失は、地域や設置環境によって大きく異なりますが、深刻なケースでは年間発電量の5%から10%が失われることもあります。たとえば、年間発電量が5000kWhの家庭で10%の損失が出れば、500kWhが無駄になります。売電価格を1kWhあたり17円とすると、年間8500円の損失です。

特に影響が大きいのが、FIT(固定価格買取制度)の売電単価が高い時期に設置した家庭です。売電単価が30円から40円の契約をしている場合、500kWhの損失は年間1万5000円から2万円に相当します。10年間で15万円から20万円の機会損失となり、決して無視できない金額です。

気づかずに放置している家庭が多い

問題なのは、多くの家庭が電圧抑制の発生に気づいていないことです。パワコンのモニターを日常的に確認している人は少なく、エラー表示が出ていても見過ごされがちです。また、発電量の低下が電圧抑制によるものなのか、パネルの汚れや故障によるものなのか、判断が難しい面もあります。

実際、「思ったより発電していない」と感じて業者に相談したところ、電圧抑制が頻発していたことが判明した、というケースは珍しくありません。定期的にパワコンの履歴データを確認し、抑制の発生状況を把握することが重要です。

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電圧抑制を解消する対策方法

電圧抑制を解消する対策方法

電力会社への申請と系統側の対策

電圧抑制が頻繁に発生する場合、まず電力会社に相談することをおすすめします。電力会社は、配電線の電圧を調整したり、電圧調整装置(SVR:自動電圧調整器)を設置することで、電圧上昇を抑制できます。ただし、これらの対策には費用と時間がかかるため、すぐに解決しないこともあります。

また、電力会社によっては、太陽光発電の逆潮流を制限する契約を提案される場合もあります。これは、売電を諦める代わりに電圧抑制を回避する方法ですが、経済的メリットが大きく損なわれるため、慎重な判断が必要です。

パワコンの電圧設定変更

パワコンには、電圧抑制が働く閾値を調整できる機種があります。標準設定では107Vで抑制が働きますが、これを109Vに変更することで、抑制の発生頻度を減らせる場合があります。ただし、この設定変更は電力会社の承認が必要で、勝手に変更することはできません。

また、最近の高性能パワコンには、電圧上昇を検知すると無効電力を制御して電圧を下げる機能を持つものもあります。このようなパワコンに交換することで、電圧抑制を大幅に減らせる可能性があります。

蓄電池の導入で自家消費を増やす

根本的な解決策として注目されているのが、蓄電池の導入です。蓄電池があれば、発電した電力を系統に流さずに蓄電池に貯めることができるため、電圧上昇を防げます。また、昼間に貯めた電力を夜間に使用することで、電気代削減効果も高まります。

蓄電池の導入には100万円から200万円程度の費用がかかりますが、電圧抑制による損失が大きい家庭では、長期的に見れば投資効果が見込めます。また、災害時の非常用電源としても活用できるため、総合的なメリットは大きいと言えます。

エコキュートやEV充電との連携

昼間の電力消費を増やすことも有効な対策です。たとえば、エコキュートを昼間に稼働させる設定に変更すれば、発電した電力をその場で消費できます。また、電気自動車を所有している場合、昼間に充電することで、余剰電力を有効活用できます。

最近では、太陽光発電の出力に応じて自動的に家電を制御するHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)も普及しています。これを活用すれば、発電量が多い時間帯に洗濯機や食洗機を自動運転させるなど、効率的な電力利用が可能になります。

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電圧抑制の確認方法と記録の取り方

パワコンのエラー履歴を確認する

電圧抑制が発生しているかどうかは、パワコンのモニター画面やスマートフォンアプリで確認できます。多くのパワコンには、エラー履歴を記録する機能があり、「電圧上昇抑制」「系統電圧異常」などのエラーコードで表示されます。

定期的にこの履歴を確認し、電圧抑制の発生日時や頻度を把握しましょう。特に、晴天日に頻繁に発生している場合は、対策が必要です。記録を取っておくことで、電力会社や施工業者に相談する際の資料としても活用できます。

発電量の推移をグラフで分析

モニタリングシステムで発電量の推移をグラフ化すると、電圧抑制の影響が視覚的に分かりやすくなります。正常に発電している日と比較して、晴天なのに発電量が急激に落ち込んでいる時間帯があれば、電圧抑制が疑われます。

特に、午前10時から午後2時の間に発電量が不自然に低下している場合は要注意です。また、春や秋に発電量が期待値を下回る日が多い場合も、電圧抑制の可能性があります。

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太陽光の電圧抑制でよくある質問(FAQ)

太陽光の電圧抑制でよくある質問(FAQ)

Q1. 電圧抑制はどのくらいの頻度で発生しますか?

地域や電力系統の状況によって大きく異なります。全く発生しない地域もあれば、晴天日の半分以上で発生する地域もあります。郊外や太陽光の設置率が高い地域では、月に10日から20日程度発生することもあります。

Q2. 電圧抑制が発生していることに気づく方法はありますか?

パワコンのモニター画面に「電圧抑制中」などのエラー表示が出ます。また、晴天なのに発電量が急に落ち込む、シミュレーション値よりも発電量が少ないといった症状がある場合は、電圧抑制の可能性があります。定期的にパワコンの履歴を確認しましょう。

Q3. 電圧抑制は自分で解決できますか?

個人でできる対策は限られています。蓄電池を導入する、昼間の電力消費を増やすといった方法は効果がありますが、根本的な解決には電力会社の協力が必要です。まずは電力会社に相談し、系統側の対策が可能か確認することをおすすめします。

Q4. 電圧抑制で損失した電力は補償されますか?

残念ながら、電圧抑制による発電損失は補償されません。電圧抑制はパワコンの安全機能として正常に動作しているため、故障や不具合ではないと判断されます。ただし、施工業者が電圧抑制のリスクを説明せずに契約した場合は、説明義務違反として交渉の余地があるかもしれません。

Q5. 新しいパワコンに交換すれば改善しますか?

最新のパワコンには、電圧上昇を抑制する機能が搭載されているものもあり、交換により改善する可能性があります。ただし、交換費用は20万円から30万円程度かかるため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

Q6. 設置前に電圧抑制のリスクを知る方法はありますか?

A. 設置を検討している地域で、既に太陽光を設置している近隣住民に話を聞くのが最も確実です。また、施工業者に電圧抑制の発生実績を確認し、対策を含めた提案をしてもらいましょう。電力会社に事前相談することも有効です。

電圧抑制は、多くの太陽光発電ユーザーが直面する可能性のある問題です。特に郊外や太陽光の普及率が高い地域では、年間発電量の5%から10%が失われることもあります。定期的にパワコンの履歴を確認し、電圧抑制が発生していないかチェックしましょう。発生が確認された場合は、電力会社への相談、蓄電池の導入、昼間の電力消費増加などの対策を検討することで、発電損失を最小限に抑えることができます。

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