
「太陽光発電と蓄電池を導入したら、電気を自給自足できる」──そう思っていたのに、実際には「契約アンペアを上げてください」と言われた。しかも、想定外の追加工事が必要になった──。
太陽光と蓄電池の導入によって、家庭内の電気の使い方が大きく変わります。その結果、これまで十分だった契約アンペアでは足りなくなるケースが増えているのです。今回は、なぜ容量不足が起きるのか、そしてどう対処すべきかを、前回とは別の視点から解説します。
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太陽光・蓄電池導入で「家の電気の使い方」が変わる

自家消費が増えると「同時使用量」が増える
太陽光発電を導入すると、「昼間に発電した電気を使おう」という意識が芽生えます。これまで夜間に使っていた洗濯機や食洗機を、わざわざ昼間に回すようになります。
この「行動変化」が、実は電気容量に大きな影響を与えます。昼間はエアコン、冷蔵庫、照明など常時稼働している家電に加えて、洗濯機、食洗機、掃除機、電子レンジなどを同時に使うことになり、瞬間的な電力消費(ピーク電力)が跳ね上がるのです。
「太陽光があるから大丈夫」と油断して家電が増える
さらに、太陽光導入後に家電を新たに購入する家庭も多くあります。「どうせ太陽光で電気を賄えるから」という安心感から、以下のような家電が増える傾向にあります。
• 食洗機(消費電力1,000〜1,500W)
• 衣類乾燥機(消費電力1,200〜2,000W)
• 電気ストーブ(消費電力1,000〜1,500W)
• サーキュレーター・空気清浄機(各50〜200W)
これらを同時に使うと、瞬間的に3,000〜5,000W(30〜50A相当)の電力を消費します。もともと40Aで余裕があった家庭でも、これに既存の家電が加わると60A以上必要になることがあります。
在宅ワークやリモートワークの普及が追い打ち
在宅ワークの普及により、平日昼間も家で電気を使う機会が増えました。パソコン、モニター、デスクライト、エアコン、加湿器など、オフィス環境を自宅に再現すると、それだけで消費電力が増加します。
こうした「生活様式の変化」と「太陽光導入による行動変化」が重なることで、契約アンペアが不足するケースが急増しているのです。
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蓄電池の「出力(kW)」と「契約アンペア」の誤解

蓄電池の「容量(kWh)」と「出力(kW)」は別物
蓄電池を選ぶ際、多くの人が注目するのは「容量(kWh)」です。例えば、「10kWhの蓄電池なら、10時間使える」といった具合。しかし、もう一つ重要なのが「出力(kW)」です。
出力とは、蓄電池が一度に供給できる電力の大きさです。例えば、10kWhの容量があっても、出力が2kWなら、同時に2kW(約20A)分の家電しか動かせません。逆に、出力が5kWなら、同時に5kW(約50A)分の家電が使えます。
出力が高い蓄電池ほど、家のブレーカーに負荷がかかる
停電時や夜間に蓄電池から電力を供給する際、出力が高い蓄電池ほど大量の電気を一度に流します。この時、分電盤を通じて家中に電気が流れるため、分電盤の容量が不足していると、ブレーカーが落ちることがあります。
特に、全負荷型蓄電池(家全体をバックアップする)を導入した場合、停電時に家中の家電を動かそうとすると、契約アンペアを超える電流が流れることがあります。
「大容量蓄電池=安心」ではない理由
「大容量の蓄電池を買えば安心」と考えがちですが、容量が大きくても出力が低ければ、同時に使える家電は限られます。逆に、容量は小さくても出力が高ければ、短時間で大量の電気を使えます。
蓄電池を選ぶ際は、容量だけでなく出力もチェックし、自宅の契約アンペアとのバランスを考慮することが重要です。メーカーやディーラーに「この蓄電池の出力で、うちの契約アンペアは足りますか?」と確認しましょう。
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太陽光の「逆潮流」が容量不足を引き起こすケース

発電量が多いとき、家の配線に負荷がかかる
太陽光発電の「逆潮流」とは、発電した電気が家で使い切れず、電力会社に売電される際に、電気が家から電柱へ逆向きに流れる現象です。
晴天時の昼間など、発電量が家庭内消費を大きく上回ると、大量の電気が逆潮流します。この時、分電盤や引き込み線(幹線)に通常とは逆方向の電流が流れるため、配線に負荷がかかります。
特に、設置容量が大きい太陽光システム(例:10kW以上)を導入した家庭では、逆潮流の電流が大きくなり、分電盤や幹線の容量が不足することがあります。
売電量が多い家ほど注意が必要
売電量が多い家庭は、それだけ逆潮流の電流も大きいということです。月間の売電量が500kWh以上の家庭では、分電盤や幹線の容量を事前に確認しておくことをおすすめします。
また、蓄電池を後から追加する場合、蓄電池への充電と逆潮流が重なると、さらに負荷が増します。導入前に電気工事業者に相談し、容量の見直しが必要か確認しましょう。
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古い家は「幹線(引き込み線)」がボトルネックになる

分電盤ではなく「家に来ている線」が問題
契約アンペアを上げたくても、「幹線(電柱から家への引き込み線)」の太さが足りず、物理的に上げられないケースがあります。
築20年以上の住宅では、幹線が40A対応までしか設計されていないことがあります。この場合、60Aに契約変更するには、幹線そのものを太い線に交換する工事が必要になります。
幹線交換は太陽光導入時に見落とされがち
太陽光や蓄電池の導入見積もりでは、パネルや蓄電池の費用は詳しく説明されますが、幹線交換の必要性については触れられないことがあります。
工事が始まってから「幹線が足りません」と言われ、追加で10〜30万円の費用がかかるケースも。導入前に、必ず電気工事業者に「幹線の容量は足りていますか?」と確認しましょう。
幹線が原因で容量アップできない家もある
まれに、電柱から家までの距離が長すぎる、または電柱側の設備が古いなどの理由で、幹線を太くできないケースがあります。この場合、契約アンペアを上げることができず、太陽光や蓄電池の導入を断念せざるを得ないことも。
こうしたケースは稀ですが、古い住宅地では起こり得るため、導入前の現地調査で確認しておくことが重要です。
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容量アップが必要かは「生活パターン」で決まる

在宅ワーク中心の家庭は要注意
在宅ワークが多い家庭では、平日昼間も家で電気を使います。パソコン、モニター、エアコン、照明、給湯など、オフィスと同等の電力を消費するため、契約アンペアが不足しやすくなります。
特に、夫婦2人とも在宅ワークの場合、2部屋でそれぞれパソコンとエアコンを使い、さらに洗濯機や食洗機を昼間に回すと、ピーク電力が跳ね上がります。
子育て世帯は昼間の電力消費が多い
小さな子供がいる家庭では、昼間に洗濯機を何度も回したり、おむつ用のゴミ処理機、哺乳瓶の消毒器、ベビーモニターなど、子育て家電が増えます。また、エアコンも一日中稼働させることが多く、電力消費が増えます。
共働きで夜に家電が集中する家庭も危険
共働き家庭では、夕方〜夜にかけて家電の使用が集中します。帰宅後、エアコン、照明、テレビ、洗濯機、食洗機、電子レンジ、IHクッキングヒーターなどを一気に使うと、ピーク電力が60Aを超えることも。
この時間帯に蓄電池の充電も重なると、さらに負荷が増します。
昼間に太陽光を使い切る家は逆に余裕がある
逆に、昼間の在宅が少なく、太陽光発電のほとんどを売電している家庭では、家庭内の電力消費が少ないため、契約アンペアに余裕があることが多いです。ただし、前述の通り、逆潮流による負荷には注意が必要です。
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容量アップを避けるための「運用テクニック」

家電の使用時間をずらす
最もシンプルな方法は、家電の使用時間をずらすことです。例えば、洗濯機と食洗機を同時に使わず、洗濯機が終わってから食洗機を回す、といった工夫です。
また、IHクッキングヒーターを使う際は、電子レンジや電気ケトルの使用を控えるなど、キッチン周りの家電を同時に使わないように意識するだけでも、ピーク電力を抑えられます。
蓄電池の充電スケジュールを最適化
蓄電池の充電時間を、家電の使用が少ない時間帯に設定することで、ピーク電力を分散できます。例えば、深夜2〜6時に充電するように設定すれば、他の家電との同時使用を避けられます。
また、太陽光発電の余剰電力で充電する設定にすれば、昼間の発電量を有効活用しつつ、夜間の電力消費を抑えられます。
スマート分電盤で負荷制御
スマート分電盤を導入すると、家全体の電力使用量をリアルタイムで監視し、契約アンペアを超えそうになると自動で一部の家電を停止させることができます。
初期費用は10〜20万円程度かかりますが、契約アンペアを上げずに済むため、長期的にはお得になる可能性があります。また、電力使用状況をスマホアプリで確認できるため、節電意識も高まります。
「ピークカット」機能付き蓄電池を選ぶ
一部の蓄電池には、家庭内の電力消費がピークに達しそうになると、自動で蓄電池から電力を供給してピークを抑える「ピークカット」機能があります。この機能があれば、契約アンペアを超えるリスクを減らせます。
蓄電池を選ぶ際は、こうした機能の有無もチェックしましょう。
まとめ:太陽光+蓄電池は「電気の使い方が変わる」から容量が必要になる
太陽光と蓄電池を導入すると、「昼間に電気を積極的に使う」「家電が増える」「在宅時間が増える」といった行動変化が起こります。この結果、これまで十分だった契約アンペアでは足りなくなることがあります。
また、蓄電池の出力、太陽光の逆潮流、古い家の幹線容量など、設備面の制約も容量不足の原因となります。導入前に、自宅の電気の使い方と設備の状態を確認し、必要に応じて契約アンペアの見直しや工事を行うことが重要です。
容量アップには費用がかかりますが、後から気づくと工事が大がかりになり、さらに高額になることもあります。導入前に「家の電気の未来」を設計することで、快適で経済的な太陽光+蓄電池生活を送れます。
なお、本記事の内容は一般的な情報に基づいています。実際の電気容量や工事の必要性は、住宅の構造、使用状況、設備の仕様によって異なります。必ず専門の電気工事業者や太陽光・蓄電池の施工業者に現地調査を依頼し、詳細な診断と見積もりを取得した上で導入を進めてください。
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ブレーカー容量アップ回避|よくある質問(FAQ)
Q1: 契約アンペアを上げると、基本料金はどのくらい上がりますか?
電力会社により異なりますが、40Aから60Aに上げると、基本料金が月500〜1,000円程度上がります。年間では6,000〜12,000円の増額です。ただし、ブレーカーが落ちるストレスから解放されるメリットもあります。
Q2: 蓄電池の「容量」と「出力」の違いは何ですか?
容量(kWh)は蓄えられる電気の総量、出力(kW)は一度に供給できる電力の大きさです。容量が大きくても出力が小さければ、同時に使える家電は限られます。購入時は両方を確認しましょう。
Q3: 幹線の容量不足は、どうやって確認できますか?
電気工事業者に現地調査を依頼すれば、幹線の太さと対応アンペアを確認できます。また、電力会社に問い合わせることでも、引き込み線の仕様を教えてもらえることがあります。
Q4: スマート分電盤の導入費用はどのくらいですか?
製品によりますが、本体価格が5〜10万円、工事費込みで10〜20万円程度が目安です。電力使用状況の可視化や自動負荷制御ができるため、節電効果も期待できます。
Q5: 太陽光と蓄電池を導入しても、契約アンペアを上げずに済む方法はありますか?
家電の使用時間をずらす、蓄電池の充電スケジュールを最適化する、ピークカット機能付き蓄電池を選ぶなどの工夫で、契約アンペアを上げずに済むケースもあります。ライフスタイルに合わせて検討しましょう。
Q6: 逆潮流が多いと、電気代が高くなることはありますか?
逆潮流自体で電気代が高くなることはありません。むしろ、売電収入が増えます。ただし、逆潮流による配線の負荷が大きいと、設備の劣化や容量不足のリスクがあるため、事前に容量を確認しておくことが大切です。

























