
一般的に太陽光パネルは夏に強く、冬に弱いというイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?たしかに、夏は太陽の角度が高く、日射時間も長いので、エネルギーが豊富そうなイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、冬でも太陽光発電は私たちが思う以上に、パワフルに動いているのです。むしろ、条件によっては夏よりも発電効率が高いという不思議な現象が起こります。
今回はその秘密を明らかにするとともに、住宅太陽光パネルがなぜ冬でも発電できるのか、気温が低いと発電効率が上がる理由を身近な視点から科学的に解説していきます。
太陽光パネルは光子エネルギーで発電している
太陽光パネルは、光が当たると電気を生み出す半導体(シリコン)の特性を利用しています。太陽光パネルの中には、たくさんのシリコン半導体がギッシリ並んでいます。この時重要になってくるのは光の量ではなく、光を構成する粒である光子(フォトン)のエネルギーなのです。光子がシリコンに衝突すると、電子が活性化して電気が流れます。
つまり、パネルは熱で動くわけではなく、植物が太陽光を取り入れて光合成をするように、光子のエネルギーを電気に変える装置なのです。
でも、もし熱すぎる場所に置かれたら、植物がしおれるように、パネル本来の力も出せなくなってしまうのです。
このため、気温が高ければ高いほど良いわけではないのが、太陽光発電の特徴といえます。
発電量は光の強さだけで決まらない
夏の炎天下、35℃の屋根の上に置かれたパネルと、冬の晴れた日、10℃の空気の中で光を受けているパネルをイメージしてみましょう。どちらも同じ明るさでも、電気の出力は冬の方が高くなります。太陽光パネルが発電する時、実際には次のような式で電力が決まります。
発電量(W)=電圧(V)×電流(A)
光が強いほど、電流(A)は増え、気温が高いと電圧(V)が下がってしまいます。
結果、夏はたくさんの光を受けているのに、トータルでは発電量は伸びにくいという現象が起こるのです。
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高温は太陽光パネルの天敵?

太陽光パネルには温度係数という特性があります。
これは、温度が1℃上がるごとに発電出力がどれだけ下がるかを示す数値です。一般的なシリコン系パネルでは、-0.3%から-0.5%/℃程度になります。例えば25℃を基準として、真夏にパネルが60℃まで上昇したとしましょう。
60℃―25℃=35℃の上昇です。
0.4%×35=14%の出力低下になります。
つまり、同じ日照条件でも、夏の屋根の上では電圧が下がって、約15%も損をしてしまいます。太陽光パネルにとって光は味方でも、熱は敵というのは、このためです。
実際、メーカーの実験データでも、25℃の時と60℃の時では明確に出力カーブが下がってしまいます。暑ければ暑いほど電子がバラバラに動いてしまい、電気を効率よく流せなくなるのです。
暑い日と寒い日での出力差の例
仮に4kW(4000W)の太陽光発電システムがあるとします。先程の数値を使って、詳しい出力エネルギーを計算してみましょう。パネル温度による出力低下を温度係数-0.4%/℃とすると、夏と冬で条件がこうなります。
夏:パネル温度60℃(基準25℃)
・温度上昇:60℃-25℃=35℃
・出力低下率:35×0.4%=14%
・実際の出力:4000×(1-0.14)=3440W
冬:パネル温度10℃(基準25℃)
・温度低下:25℃―10℃=15℃
※低い分には出力増にほぼ直結せず、損失がない状態
・実際の出力:4000W
実際の電流は日射量で決まるので、冬は日照時間が短くても、日差しが強ければ夏よりも1時間あたりのピーク出力は高くなることもあります。
冬は日差しが弱くても効率がいい季節である
冬の発電量は夏と比較すると、日照時間の短さで一見不利に見えますが、実は太陽光パネルにとって最も効率の良い環境が整っています。外の気温が低いことでパネル自体の温度が上がりにくくなり、電圧が不安定になることで発電効率が高いというメリットがあります。
例えば、外の気温が10℃の晴れている日では、パネルの表面の温度は30℃前後になります。一方、真夏の60℃のパネルと比べると、出力が10%以上高くなるケースもあります。冬の晴れた日こそ、太陽光発電が本気を出すと言われる理由がここにあります。
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気温が下がると電圧が上がる仕組み

シリコン半導体は温度が上がると内部抵抗が増え、電圧の動きが乱れます。その結果、電圧がバラバラに動き散乱するため、電圧が下がってしまうのです。反対に、気温が低いと電子の動きが安定し、電圧を高く維持することができます。
また、太陽光発電システムには、パワーコンディショナー(インバーター)があり、これは常に最大電力点追従制御(MPPT)という方式で、その瞬間の最も効率的な電圧と電流のバランスを自動で探りながら動いています。したがって、気温が低い冬場はMPPTが有利に働きやすく、安定した高出力が得られるというわけなのです。
夏は光の量が多いのに発電が伸びない理由とは?
真夏の屋根の上では、太陽光パネルの温度は60℃近くまで上昇します。この高温状態では電圧が下がり、MPPTが最大出力点を見失いやすくなり、熱によるパネル内部の熱ストレスも発生します。
そうすると、発電効率が下がり、パネル内部の長期的な劣化が進みやすくなるという状態に陥ってしまうのです。
つまり、太陽光が強い=発電量が多いとは限らないのです。
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夏でも発電効率を落とさないための工夫とは?

冬の方が効率よく発電できるとは言っても、夏も発電できないのは困ってしまいます。では、家庭でできる対策は何かあるのでしょうか?
以下のような工夫をすることで、夏の効率低下を抑えることが可能になります。
屋根とパネルの間に空気を通す
通気性の良い架台設計により、パネルの隙間から風を通すことでパネルの温度を下げることができます。10cmの隙間で5℃以上の温度差が出る場合もあります。
白やグレーの屋根材で反射冷却させる
濃い色の屋根は熱を吸収しやすく、発電効率を下げてしまいます。白やグレー系の色の屋根は太陽熱を反射しやすく、パネスの温度の上昇を抑えます。
太陽光パネルの清掃をする
花粉やほこり、鳥の糞などでパネルの透過率が下がると、表面の温度も上昇します。年に1・2回の水洗いなどの軽い清掃を行い、パネルを磨いておくことで発電効率がキープできます。
発電のピーク時間に電気を使うようにする
昼間のピーク時間に洗濯機や掃除機などの家電を稼働させることで、自家消費率を高めながら発電ロスを分散することができます。
太陽光パネルを冷却する
洗車の時のように水をかけるだけでパネルの温度が下がり、発電効率がアップします。専用の冷却システムもありますので、そちらを使ってもいいでしょう。
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冬の太陽光発電を支える4つの環境条件とは?

それでは太陽光発電1番良い季節とされる冬に、効果を最大限に引き出すためにはどうすればよいのでしょうか? 以下の4つにまとめてみましたので、1つ1つチェックしていきましょう。
外の気温が低い
外の気温が低いと、発電効率が大幅にアップします。
空気が乾燥している
空気が乾燥している状況下では湿度が低く、光の散乱が減るため、日射透過率が高くなります。
雪面に反射している
雪面は白色のため、太陽光を反射しやすく光量が増します。晴れた冬の日、少し雪が屋根や地面に残っていると、太陽光が雪に反射してパネルに届きます。地面や雪の反射率は20~90%と幅があり、太陽光が直接当たるわけではなく、下からの反射も加わります。雪国では二重の太陽効果がみられることもあります。
日射角が浅い
太陽が低い位置から照らす冬は、南向きの屋根に光が当たりやすくなり、光の量が増え、発電効率が上がります。冬の晴れた日は空気が澄んでおり、光がまっすぐ届くため、クリーンなエネルギーが効率よく取り込めるのです。
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季節ごとの特徴を理解して発電を最適化する
年間で見れば、発電量は圧倒的に夏が大きくなりますが、発電効率だけを見ると冬が有利です。春や秋は温度・日射のバランスが良く、安定した出力が得られる中間のベストシーズンといえます。梅雨や台風の季節は一時的に落ち込みますが、それも自然サイクルの一部です。季節によって特性が変わる太陽光発電は、一年を通して働くエネルギー装置として捉えるのが正解です。
家庭でできる発電最適化チェックリスト

家庭で私たちが身近にできる対策を以下5つの項目にしてみました。
・パネルの向きと角度は最適かどうか?(南向き30~35℃が最適)
・屋根の影、アンテナ、樹木、近所の家の影響で影になっている部分はないか?
・ほこりや鳥の糞などの汚れ、落ち葉は定期的に掃除しているか?
・通気性対策や屋根の色など夏場の熱対策をきちんとしているか?
・発電データを季節ごとに分析しているか?
・パワーコンディショナーのモニターで気象条件に合った出力ができているか?
この5つの項目を見直すだけで、年間5~10%の効率改善も期待できます。効率的に発電することで、発電ロスを大幅に削減することが可能になります。
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冬こそ太陽光発電が本気を出す季節

冬の太陽光発電は、日照時間が短くても効率が高さで勝負します。
気温が低いことで電圧が下がり、澄んだ空気で光がまっすぐ届き、さらに雪面反射で光量が増加します。これらの条件が重なることで、夏以上にパワフルな発電が実現するのです。太陽光発電は、ただの夏の太陽に依存する発電方法ではありません。
あくまでも季節ごとの自然条件と共に働く、効率的で環境にやさしいエネルギーシステムなのです。冬の晴れた日に屋根の上で静かに光を受けるパネルの姿こそ、自然と技術が調和した真のエコエネルギーの象徴といえます。
太陽光発電のシステムを正しく理解し、季節に合った効率的な発電方法で、私たちの暮らしをもっと豊かにしていきましょう。
























