
太陽光発電を導入したら、発電した電気を全部使えると思っていたのに、実際には大量の余剰電力が売電されている、または出力抑制で捨てられている──こうしたケースは少なくありません。本記事では、なぜ余剰電力が無駄になるのか、そしてどう活用すべきかを詳しく解説します。
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余剰電力が捨てられる仕組み

出力抑制で発電そのものが止まる
電力会社の系統に流せる電力には上限があります。電力需要が少ない時間帯に太陽光発電が集中すると、電力会社から出力抑制の指示が出ます。出力抑制がかかると、パワーコンディショナーが自動的に発電を停止し、せっかくの太陽光が無駄になります。
特に、九州や四国など太陽光が普及している地域では、春や秋の晴天日に出力抑制が頻繁に発生します。ある家庭では、年間で30~50日程度、出力抑制がかかることもあると言われています。この間、発電した電気は全く使えず、文字通り捨てられているのです。
売電しても単価が安く実質捨てている状態
FIT(固定価格買取制度)期間が終了すると、売電単価は1kWhあたり8~12円程度まで下がります。一方、電力会社から買う電気は30~40円程度です。
例えば、昼間に5kW発電していて、家庭内で0.5kWしか使っていない場合、4.5kWが余剰電力として売電されます。1時間で4.5kWh売電すると、10円×4.5kWh=45円の収入。しかし、これを自家消費に回せば、35円×4.5kWh=158円の買電を避けられます。差額は113円。1日8時間発電すれば、904円の差。月間で約2万7000円、年間で約33万円の差が出ます。
この価格差を考えると、余剰電力を売電するのは実質的に捨てているのと同じなのです。
蓄電池がないと夜に使えない
昼間に発電した余剰電力を夜に使いたくても、蓄電池がなければ貯めておくことができません。結果として、昼間は余剰電力を安く売電し、夜は高い電気を買う、という非効率な状態になります。
蓄電池があれば、昼間の余剰電力を貯めて夜に使うことで、自家消費率を30~50%以上高められます。ただし、蓄電池の導入には100万円以上かかることもあり、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
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昼間に電気を使う習慣がない

共働き世帯は昼間に在宅していない
共働き世帯では、平日の昼間は誰も家にいません。太陽光がピーク発電している10時~14時に、電力消費が極端に少ないのです。
例えば、昼間に5kW発電していても、家庭内で使っているのは冷蔵庫やWi-Fiルーターなどの待機電力だけで、合計0.3~0.5kW程度。残りの4.5~4.7kWは全て余剰電力として売電されてしまいます。月間で計算すると、平日20日×8時間×4.5kW=720kWhが無駄になっている計算です。
タイマー家電を活用していない
洗濯機や食洗機にはタイマー機能がありますが、これを活用している家庭は意外と少ないです。朝に洗濯物を干したい、夜に食器を洗いたい、という習慣があり、昼間に自動で動かすことに抵抗がある人もいます。
しかし、タイマー設定を活用すれば、昼間の太陽光ピーク時に洗濯機や食洗機を動かせます。洗濯機1回で1~1.5kWh、食洗機1回で0.5~1kWh程度の自家消費を増やせます。週5日実行すれば、月間で50~70kWh程度、年間で600~840kWhの自家消費増加になります。
エコキュートを深夜にしか動かしていない
多くの家庭では、エコキュートを深夜電力で動かす設定にしています。しかし、太陽光がある家庭では、昼間にエコキュートを動かす方が経済的です。
エコキュートは1回の沸き上げで3~6kWh程度消費するため、昼間に動かせば大量の余剰電力を自家消費できます。例えば、5kWhを昼間の太陽光で賄えば、深夜電力20円×5kWh=100円の節約ではなく、買電35円×5kWh=175円の節約になります。月間で2100円、年間で2万5000円以上の差です。
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余剰電力の見える化ができていない

発電量と使用量を把握していない
太陽光発電のモニターやスマホアプリで、リアルタイムの発電量や消費電力を確認できますが、これをチェックしている人は少数です。多くの人は、月末の売電明細を見て、「なんとなく売電されているな」と感じる程度です。
しかし、発電量と使用量を見える化すれば、「今、5kW発電しているのに1kWしか使っていない。何か家電を動かせないか?」と気づくことができます。この気づきが、余剰電力の有効活用につながります。
余剰電力がもったいないという意識がない
売電していれば収入があると感じるため、余剰電力が無駄になっているという意識が薄れます。しかし、FIT終了後の売電単価は非常に安く、「安く売って高く買う」という損な取引をしていることに気づいていない人が多いのです。
例えば、月間500kWhの余剰電力を10円/kWhで売電すると、5000円の収入。しかし、これを自家消費に回せば、35円/kWhの買電を避けられるため、1万7500円の節約になります。差額は1万2500円。年間で15万円の差が出る計算です。この事実を知らない人が非常に多いのです。
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電力会社のプランが自家消費向きではない

深夜電力プランは昼間の電気が高い
エコキュートやEVのために深夜電力プランに加入している家庭は多いですが、このプランは昼間の電気料金が割高に設定されています。そのため、せっかく太陽光で自家消費しても、そもそもの単価が高いため、節約効果が薄れます。
太陽光を導入したら、電力プランを見直すことが重要です。昼間の料金が安いプランに変更すれば、自家消費のメリットを最大化できます。プラン変更により、月間2000~3000円程度の節約になることもあります。
プラン変更の手続きが面倒で放置
電力プランの変更には、電力会社への連絡や書類手続きが必要で、これが面倒で放置している人も多いです。しかし、一度変更すれば、その後はずっとメリットを享受できるため、早めに対応することをおすすめします。
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家電の消費電力が小さすぎる

省エネ家電が普及して電力消費が減った
近年の家電は省エネ性能が向上しており、昔と比べて消費電力が大幅に減っています。例えば、冷蔵庫は10年前と比べて半分以下の消費電力、エアコンも30~50%削減されています。
これは光熱費削減には良いことですが、太陽光の余剰電力を消費するには不十分です。発電量が5kWあっても、省エネ家電だけでは1~2kWしか消費できず、残りは余剰電力になってしまいます。
大型負荷がないと消費しきれない
余剰電力を効率的に消費するには、エコキュート(3~6kWh)やEV充電(10~50kWh)などの大型負荷が必要です。これらがない家庭では、どんなに工夫しても余剰電力を使い切るのは難しいのが現実です。
そのため、太陽光を最大限活かすには、蓄電池の導入や、将来的なEV購入を検討することが有効です。
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余剰電力を有効活用する具体的な方法

タイマー家電で昼間に自動稼働
洗濯機・食洗機・乾燥機などのタイマー機能を活用し、太陽光発電がピークとなる10時〜14時に自動稼働させることで、余剰電力を効率的に自家消費へ回せます。特に共働き家庭では昼間の電力使用が極端に少ないため、タイマー設定だけで月間50〜70kWh以上の自家消費増加が期待できます。
また、洗濯乾燥や食洗機は1回あたり1kWh前後の消費があるため、複数の家電を組み合わせればさらに効果が高まります。太陽光の発電状況に合わせて家電を動かす習慣をつけることで、売電依存から脱却し、電気代削減効果を最大化できます。
エコキュートを昼間沸き上げに変更
エコキュートは家庭内で最も電力を消費する設備のひとつで、1回の沸き上げで3〜6kWhを使用します。これを深夜電力ではなく、太陽光が豊富な昼間に沸き上げる設定へ変更することで、大量の余剰電力を自家消費に回せます。
最近の機種には「おひさまエコキュート」など、太陽光発電量に応じて自動で沸き上げを調整する機能も搭載されており、手動操作なしで効率的に運用できます。深夜電力プランを使っている家庭でも、太陽光のある家庭では昼間沸き上げの方が経済的になるケースが多く、年間2〜3万円以上の節約につながることもあります。
EVを昼間に充電
EV(電気自動車)は10〜50kWhと非常に大きな電力を消費するため、太陽光の余剰電力を最も効率的に活用できる設備です。特に在宅ワークや日中に車を自宅に置いている家庭では、太陽光のピーク時間帯に充電するだけで、売電に回っていた電力をほぼ全て自家消費に切り替えられます。
週1〜2回の昼間充電でも月間100〜200kWh以上の余剰電力を吸収でき、FIT終了後の家庭では非常に高い経済効果を発揮します。また、V2H(車から家へ給電)を組み合わせれば、夜間の買電をさらに減らすことも可能です。
蓄電池を導入して夜に使う
蓄電池は昼間の余剰電力を貯め、夜間の電力使用に回せるため、自家消費率を大幅に引き上げる最も確実な方法です。容量にもよりますが、一般家庭なら5〜12kWhの蓄電池で夜間の電力をほぼ賄えるケースもあります。
初期費用は100〜150万円と高額ですが、電気代の高騰が続く現在では、長期的に見れば投資回収が十分可能です。また、停電時のバックアップ電源としても機能するため、防災面でのメリットも大きいです。太陽光の発電量が多い家庭ほど蓄電池の効果が高く、余剰電力の「捨てられる問題」を根本から解決できます。
HEMSで自動制御
HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)は、太陽光発電量・家庭内の消費電力・蓄電池残量などをリアルタイムで可視化し、最適なタイミングで家電を自動制御するシステムです。手動で家電を動かす必要がなくなるため、共働き家庭でも余剰電力を最大限活用できます。
例えば、発電量が一定以上になったらエコキュートを自動沸き上げ、EV充電を開始するなど、細かい制御が可能です。導入費用は10〜30万円ほどですが、電気代削減効果・利便性・自家消費率の向上を考えると、費用対効果は高い設備といえます。
電力プランを見直す
太陽光発電を導入した家庭では、従来の深夜電力プランが最適とは限りません。深夜電力プランは夜間が安い代わりに昼間の単価が高く設定されているため、太陽光で自家消費しても節約効果が薄れてしまうケースがあります。
太陽光のある家庭では、昼間の料金が安いプランや、時間帯による価格差が小さいプランに変更することで、自家消費のメリットを最大化できます。プラン変更は一度行えば継続的に効果が出るため、年間1〜3万円の節約につながることもあります。太陽光導入後は必ず電力プランを見直すことが重要です。
まとめ:余剰電力は売るより使うが得
太陽光発電で生まれた余剰電力は、出力抑制によって使われないまま捨てられたり、低い単価で売電されたりと、十分に活用されていない家庭が多く見られます。その背景には、昼間に電気を使う習慣がないことや、発電・消費の「見える化」ができていないこと、電力プランが生活スタイルに合っていないこと、昼間に動かせる大型負荷がないことなど、複数の要因があります。
余剰電力は工夫次第で有効活用できる
余剰電力は、特別な設備がなくても活用の余地があります。タイマー機能付き家電を昼間に動かす、エコキュートを昼間沸き上げに切り替える、EVの充電時間を発電時間帯に合わせるなど、使い方を少し工夫するだけでも自家消費率は上がります。さらに、蓄電池を導入すれば、余剰電力を夜間まで持ち越すことも可能になります。
FIT終了後は「売電」より「自家消費」が圧倒的に有利
FIT終了後の売電単価はおおむね10円前後であるのに対し、電力会社から買う電気は30〜35円程度が一般的です。つまり、余剰電力を売るよりも、自宅で使って買電を減らした方が、1kWhあたり約25円分の経済的メリットが生まれます。この差が、自家消費を重視すべき最大の理由です。
数字で見ると差はさらに大きくなる
たとえば、月間500kWhの余剰電力がある家庭の場合、売電すれば約5,000円の収入になります。一方で、これを自家消費に回せば、約17,500円分の電気代を削減できる計算になります。差額は月12,500円、年間ではおよそ15万円にもなります。自家消費を意識するかどうかで、太陽光の経済効果は大きく変わります。
行動を変えることが回収期間短縮につながる
発電した電気が捨てられている、あるいは安く売られていることに気づき、使い方を見直すだけで、太陽光投資の回収期間は大きく短縮できます。自家消費を少しずつ増やしていくことが、太陽光のメリットを最大化するための重要なポイントです。
数値や条件は家庭ごとに異なる点に注意
なお、ここで紹介している数値や考え方は一般的な条件をもとにしたものです。実際の効果は、太陽光システムの仕様、電力会社の料金プラン、家電やEVの使い方によって異なります。具体的な最適プランについては、施工業者や電力会社、メーカーに確認することをおすすめします。
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太陽光発電の余剰電力|よくある質問(Q&A)
Q1: 余剰電力はどのくらい発生しますか?
家庭の電力使用パターンによりますが、共働き世帯では発電量の70~80%が余剰電力になることもあります。在宅が多い家庭でも、50%程度は余剰になることがあります。蓄電池やタイマー家電を活用すれば、余剰率を30~40%程度まで下げられます。
Q2: 出力抑制はどのくらいの頻度で起こりますか?
地域によって大きく異なります。九州や四国では年間30~50日程度、春や秋の晴天日に発生することがあります。関東や関西では比較的少ないですが、今後太陽光が増えれば頻度も増える可能性があります。出力抑制時は発電が完全に止まるため、大きな機会損失です。
Q3: 蓄電池なしでも余剰電力を活用できますか?
はい、可能です。タイマー家電、エコキュートの昼間沸き上げ、EV昼間充電など、昼間に電気を使う工夫をすれば、蓄電池なしでも自家消費を増やせます。ただし、蓄電池があると夜間も余剰電力を活用できるため、自家消費率が大幅に上がります。
Q4: FIT期間中も自家消費した方が得ですか?
FIT期間中は売電単価が高い(24~48円/kWh)ため、売電した方が得な場合もあります。ただし、買電単価と比較して判断しましょう。買電単価が売電単価より高ければ、自家消費の方が得です。FIT終了後は、自家消費が圧倒的に得になります。
Q5: HEMSは必須ですか?
必須ではありませんが、HEMSがあると発電状況を見える化でき、自動で家電を制御することも可能です。導入費用は10~30万円程度ですが、余剰電力の活用効率が大幅に上がります。長期的には電気代削減効果で回収できる可能性があります。
Q6: 電力プランの変更は簡単にできますか?
電力会社に連絡すれば、比較的簡単に変更できます。ただし、プランによっては契約期間の縛りや解約金がある場合もあるため、事前に確認しましょう。また、プラン変更前に電力会社のシミュレーションツールで試算することをおすすめします。深夜電力プランから通常プランに変更すると、深夜が高くなるデメリットもあるため、総合的に判断が必要です。
Q7: 余剰電力を活用すると投資回収期間はどのくらい短くなりますか?
自家消費率を20%から60%に上げることで、投資回収期間を3~5年程度短縮できることがあります。太陽光の初期投資が150万円、年間の自家消費増加による節約が10万円なら、15年が10年になる計算です。蓄電池を含めると初期投資は増えますが、それでも長期的にはメリットが大きいです。
Q8: EVがあれば余剰電力を全て使い切れますか?
EVがあれば大量の余剰電力を消費できます。60kWhのバッテリーを持つEVなら、週1回の昼間充電で月間240kWh程度消費できます。ただし、在宅時でないと昼間充電できないため、在宅ワークやV2H(車から家への給電)システムがあるとより効果的です。

























