
「図面ではバッチリだったのに、実際に車を停めたら充電ケーブルが届かない」「工務店に任せたら、とんでもない場所にコンセントが付いた」──EV用200Vコンセントの設置位置をめぐるトラブルは、驚くほど多いのが現実です。
コンセントの位置は、一度決めると変更に数万円〜十数万円かかります。今回は、工務店や電気工事士が現場で目撃した「失敗事例」と、駐車パターン別・住宅タイプ別の注意点、そして実際に付け直した人のビフォーアフターまで、実践的な視点で解説します。
エコ発電本舗の「商品」「補助金」メニュー
工務店が語る「図面と現場のギャップ」

「お客さんは前向き駐車のつもりだった」
ある工務店の担当者は、こう証言します。「図面で打ち合わせした時、お客さんは前向き駐車を想定していたんです。だから充電口が車の前方にあるという前提でコンセントを配置した。でも引き渡し後、実際には後ろ向き駐車をするようになって、ケーブルが全然届かない、とクレームになりました」
これは非常によくあるケースです。図面上では「ここに車を停める」と決めていても、実際に住み始めると、荷物の出し入れや車庫入れのしやすさから、逆向きに停めることが多いのです。
「充電口の位置を聞き忘れた」
電気工事士からは、こんな反省の声も。「施主さんにEVを買うと聞いたので200Vコンセントを設置したんですが、充電口が車のどこにあるか確認していなかった。後日、右後ろに充電口がある車なのにコンセントを左側に付けてしまったことが判明して、移設工事になりました」
電気自動車(EV)は車種によって充電口の位置がバラバラです。日産リーフは前方中央、テスラModel 3は左後方、三菱アウトランダーPHEVは右後方、トヨタbZ4Xは左後方といった具合。これを確認せずに「とりあえず外壁に付けておけば」という発想で施工すると、高確率で失敗します。
エコ発電本舗の「商品」「補助金」メニュー
駐車パターン別「コンセント位置の正解」

①前向き駐車の場合:車の前方寄りにコンセント
前向き駐車をする場合、車の前方(ボンネット側)が建物に近づきます。このため、コンセントは駐車スペースの前方、建物の外壁に設置するのが基本です。
ただし、充電口が前方中央にある車種(リーフなど)と、前方左右にある車種では、最適な位置が微妙に異なります。前方中央なら壁の中央付近、前方左なら壁の左寄り、といった具合です。
前向き駐車のメリットは、出発時にすぐ発進できること。デメリットは、後ろから荷物を出し入れする際に不便なことです。
②後ろ向き駐車の場合:車の後方寄りにコンセント
後ろ向き駐車(バック駐車)をする場合、車の後方が建物に近づきます。充電口が後方にある車種なら、コンセントも後方寄りに設置すべきです。
後ろ向き駐車のメリットは、トランクから荷物を出し入れしやすいこと。デメリットは、車庫入れに慣れが必要なことです。特に狭い駐車スペースでは、バック駐車がしにくいこともあります。
ある施主は、「最初は前向き駐車のつもりでコンセントを前方に付けたけど、子供が生まれてベビーカーをトランクに積むようになったら、後ろ向き駐車の方が便利で。結局コンセントを後方に移設した」と語ります。ライフスタイルの変化も考慮すべきポイントです。
③並列2台駐車の場合:中央の壁が理想
横に2台並べて駐車する場合、中央の壁にコンセントを設置すれば、どちらの車でも充電できます。また、将来的に2台目のEVを購入した際にも対応しやすくなります。
ただし、2台同時に充電すると電力容量が不足する可能性があるため、契約アンペアの見直しが必要な場合もあります。
④縦列駐車の場合:手前の車に届くかが鍵
前後に2台停める縦列駐車の場合、奥の車にしかコンセントが届かないと、手前に停めた車は充電できません。この場合、2口コンセントを設置するか、ケーブルを長めのもの(10m以上)にする必要があります。
ある家庭では、「来客用に手前の駐車スペースも使いたいが、コンセントが奥にしかなくて不便」という状況になり、結局、手前側にも追加でコンセントを設置することになりました。費用は8万円かかったそうです。
エコ発電本舗の「商品」「補助金」メニュー
新築・リフォーム・後付けで変わる「設置の難易度」

新築時は「配線の自由度が高い」が、判断は難しい
新築時にEV用コンセントを設置する場合、壁内配線が自由にできるため、位置の選択肢が広がります。また、分電盤から直接配線できるため、工事費も比較的安く済みます(5〜8万円程度)。
ただし、新築時の難しさは、「まだ車を購入していない」ケースが多いこと。どの車種を買うか決まっていないと、充電口の位置も分からず、コンセント位置を決めにくいのです。
こうした場合、工務店は「とりあえず中央寄りの汎用的な位置」に設置することが多いですが、それでも後から「もっと右(左)に付ければ良かった」という後悔が生まれます。
既存住宅への後付けは「配線ルートの制約」がネック
既存住宅にEV用コンセントを後付けする場合、壁内配線ができないため、露出配線(壁の外側を這わせる)や、外構の地中配線が必要になります。
特に、駐車スペースが建物から離れている場合、地中配線で10m以上引き回すこともあり、工事費は15〜30万円に跳ね上がります。また、工期も1〜2週間かかることがあります。
ある戸建てオーナーは、「後付けでカーポートの柱にコンセントを設置したら、地中配線工事で25万円かかった。新築時にやっておけば10万円以下で済んだのに」と悔やんでいました。
賃貸・マンションは「大家・管理組合の許可」が必須
賃貸住宅やマンションの場合、勝手にコンセントを設置することはできません。大家さんや管理組合の許可が必要です。
特にマンションでは、共用部分(駐車場)に個人でコンセントを設置することは原則NGです。管理組合がEV充電設備を一括導入するケースもありますが、まだ少数派です。
賃貸の場合、退去時に原状回復を求められる可能性もあるため、大家さんと事前に「退去時の扱い」を取り決めておくことが重要です。中には、「コンセント設置は可だが、退去時は撤去すること」という条件を付ける大家さんもいます。
エコ発電本舗の「商品」「補助金」メニュー
実例:「失敗して付け直した人」のビフォーアフター

ケース①:右側に付けたが、左側にすべきだった
Aさん(40代・会社員)は、新築時に駐車スペースの右側壁面にコンセントを設置しました。当時乗っていたEVは充電口が右後方にあったため、問題なく使えていました。
しかし5年後、新型EVに買い替えたところ、充電口が左後方に変更されており、ケーブルが車体を横切る形に。「毎回ケーブルを車の上を通すのが面倒で、冬は雪が積もるとさらに大変」とのこと。
結局、左側の壁にコンセントを追加設置。費用は工事費込みで9万円、工期は3日間でした。Aさんは「最初から中央寄りに付けておけば、どの車でも対応できたのに」と反省しています。
ケース②:高さ140cmに付けたが、低い方が使いやすかった
Bさん(30代・主婦)は、外壁の見た目を気にして、床から140cmの高さにコンセントを設置しました。しかし、実際に使ってみると、充電ケーブルが太くて重いため、高い位置から引っ張り下ろすのが毎回大変でした。
「特に雨の日は、濡れた手で高い位置のプラグを抜くのが怖くて。結局、80cmの高さに付け直してもらいました」とのこと。移設費用は4万円、工期は半日でした。
Bさんは「最初に実際の動作をシミュレーションしておけば良かった。図面だけで決めたのが失敗」と語ります。
ケース③:建物から遠すぎて、ケーブルが届かなかった
Cさん(50代・自営業)の自宅は、駐車スペースが建物から8m離れたカーポート内にあります。外壁にコンセントを設置したものの、標準の5mケーブルでは全く届きませんでした。
仕方なく、10mの長距離ケーブル(3万円)を購入しましたが、それでもギリギリ。「最初からカーポートの柱にコンセントを付けるべきだった」と後悔しています。
後日、カーポートの柱にコンセントを移設。地中配線工事が必要となり、費用は22万円、工期は2週間かかりました。Cさんは「新築時にやっておけば、半額以下で済んだはず」と悔やんでいます。
エコ発電本舗の「商品」「補助金」メニュー
現場のプロが教える「後悔しないチェックポイント」

工務店や電気工事士に任せきりにせず、施主自身が以下の点を確認することが重要です。
①必ず「実車」で充電口の位置を確認
カタログやネット情報だけでなく、実際に購入予定(または購入済み)の車で、充電口がどこにあるかを確認しましょう。できれば、ディーラーで実車を見て、充電口の正確な位置を写真に撮っておくと良いです。
②現地で「駐車シミュレーション」を行う
図面だけで決めず、実際に駐車スペースに車を停めてみて、「前向きか後ろ向きか」「どこにコンセントがあれば使いやすいか」を体感しましょう。家族全員で試してみると、意見が分かれることもあります。
③充電ケーブルの長さを実測する
メジャーやロープを使って、コンセント位置から充電口までの距離を実測しましょう。余裕を持って、実測値+1〜2mのケーブルが必要です。
④将来の買い替えや来客も想定
今の車だけでなく、次に買う車や、来客のEVも充電できるか考えましょう。中央寄りの位置なら汎用性が高くなります。
⑤工務店・電気工事士に「充電口の位置」を明確に伝える
「EVを買うので200Vコンセントを」と言うだけでは不十分です。「充電口は車の右後方にあります」と具体的に伝え、できれば写真も共有しましょう。工事士が誤解しないよう、図面にも書き込んでおくと安心です。
まとめ:「図面だけで決めない」が鉄則
200Vコンセントの位置は、図面だけを見て決めてしまうと、高い確率で「使いにくい」「思っていた位置と違う」と後悔につながります。実際の充電では、車の充電口の位置や向き、ケーブルの長さや取り回しが大きく影響するため、図面上では問題なく見えても、現地では不便になるケースが少なくありません。
必ず現地で実車を使ったシミュレーションを
後悔を防ぐためには、実際に車を停めた状態で確認することが不可欠です。充電口の位置を確認し、ケーブルをどの方向に引き、どこに収納するかまでシミュレーションすることで、日常的な使い勝手を具体的にイメージできます。このひと手間が、長期的な満足度を大きく左右します。
設置タイミングで工事費と難易度は大きく変わる
200Vコンセントは、設置するタイミングによって工事の難易度や費用が大きく変わります。新築やリフォームのタイミングであれば、配線ルートを確保しやすく、仕上がりもきれいに収まります。一方、後付け工事は配線距離が伸びたり、壁や床の開口が必要になったりするため、費用が高額になりやすい点に注意が必要です。
後付けになる前に検討しておくことが重要
将来的にEVを使う可能性がある場合でも、可能であれば新築時やリフォーム時に200V配線だけでも用意しておくことをおすすめします。あらかじめ準備しておくことで、後付けによる余計なコストや制約を避けることができます。
実際の設置は必ず専門家による現地確認を
なお、ここで紹介している内容は一般的な情報をもとにしたものです。実際の設置条件は、住宅の構造や電気容量、地域ごとの規制によって異なります。必ず専門の電気工事業者や工務店に現地調査を依頼し、詳細な見積もりと施工プランを確認したうえで進めることが重要です。
エコ発電本舗の「商品」「補助金」メニュー
EV充電コンセントの設置位置|よくある質問(FAQ)
Q1: 200Vコンセントの設置費用は、新築と後付けでどのくらい違いますか?
新築時は壁内配線ができるため5〜8万円程度ですが、後付けは露出配線や地中配線が必要になり、10〜30万円程度かかることが多いです。駐車スペースと建物の距離が遠いほど、費用は高くなります。
Q2: 充電ケーブルは何メートルのものを選ぶべきですか?
標準は5mですが、駐車スペースとコンセントの距離によっては7.5mや10mが必要です。実測して、余裕を持った長さを選びましょう。ただし、長すぎるケーブルは取り回しが大変なので、適切な長さにすることが重要です。
Q3: コンセントの高さは何cmが使いやすいですか?
床から60〜100cm程度が目安です。高すぎると抜き差しが大変で、低すぎると水たまりや泥はねのリスクがあります。実際に屈んだり背伸びしたりして、使いやすい高さを確認しましょう。
Q4: 賃貸住宅でも200Vコンセントを設置できますか?
大家さんの許可が必要です。また、退去時の原状回復条件を事前に確認しておきましょう。最近では、EV対応賃貸物件も増えているため、物件選びの段階で確認すると良いでしょう。
Q5: マンションの駐車場にコンセントを設置する場合の注意点は?
管理組合の承認が必須です。共用部分への個人設置は原則NGのため、管理組合全体でEV充電設備を導入する計画があるか確認しましょう。分電盤から駐車場までの距離が遠い場合、配線工事が大がかりになります。
Q6: 将来車を買い替えた時、充電口の位置が変わったらどうすればいいですか?
長めのケーブル(7.5〜10m)を使う、またはコンセントを追加設置する方法があります。ただし追加設置には5〜10万円程度かかるため、最初から中央寄りの汎用的な位置に設置しておくと、買い替え時の対応がしやすくなります。


























