
「電気自動車(EV)は深夜電力で充電すれば電気代が安い」──これは多くのEVオーナーが実践している常識です。しかし、実際には深夜充電だけに頼ることで、逆に損をしているケースがあることをご存知でしょうか?
特に太陽光発電を設置している家庭や、日中在宅が多いライフスタイルの方は、充電時間帯を見直すだけで年間数万円の電気代削減が可能です。今回は、深夜充電の落とし穴と、本当にお得な充電戦略について解説します。
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理由①:太陽光発電がある家庭は「昼間充電」がよい?

余剰電力の売電単価は「1kWhあたり17円」
太陽光発電を導入している家庭では、発電した電気を自家消費せずに余った分を電力会社に売電します。現在の固定価格買取制度(FIT)の売電単価は、2024年度以降の新規契約で1kWhあたり16〜17円程度です。
一方、深夜電力の単価は電力会社によって異なりますが、おおむね1kWhあたり20〜25円程度。つまり、昼間に発電した電気を17円で売って、夜に25円で買って充電するという「逆ざや」が発生しているのです。この差額の8円が、知らず知らずのうちに家計を圧迫しています。
昼間に自家消費すれば「実質8円の節約」
例えば、電気自動車(EV)に50kWh充電する場合を考えてみましょう。
深夜充電の場合:50kWh × 25円 = 1,250円
昼間の自家消費充電の場合:50kWh × 17円(売電しなかった分の機会損失) = 850円
差額は400円。月に4回フル充電すれば、1,600円の差が出ます。年間で約19,000円の差です。10年間で19万円もの差になるため、長期的に見ると大きな節約効果が期待できます。
「発電量が足りない」は誤解
「昼間は家で電気を使っているから、EVまで充電する余裕がない」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には晴天時の太陽光発電は、家庭の消費電力を大きく上回ることが多いです。
例えば、5kWの太陽光パネルがあれば、晴天時には4〜5kWの発電が可能。一方、日中の家庭内消費電力は1〜2kW程度です。余剰分の2〜3kWをEV充電に回せば、3〜4時間で15〜20kWhの充電ができます。
また、在宅ワークやリモートワークが普及した現在、平日昼間でも自宅にいることが多い世帯が増えています。こうした世帯こそ、昼間充電のメリットを最大限に享受できるのです。
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理由②:「深夜料金プラン」の基本料金が高い

深夜割引プランは「基本料金」が割高
電気自動車(EV)ユーザーの多くは、深夜電力が安くなる「時間帯別プラン」や「スマートライフプラン」などに加入しています。しかし、これらのプランは基本料金が通常プランよりも高めに設定されていることがあります。
例えば、東京電力の「スマートライフS」の場合、基本料金は60Aで1,716円/月。深夜時間帯(午前1時〜6時)の電力量料金は安いですが、日中の料金は従量電灯Bよりも高く設定されています。午前6時〜深夜1時の電力量料金が高いため、この時間帯の使用が多いと、深夜プランのメリットが相殺されてしまいます。
「深夜しか使わない」なら得だが、実際は日中も使う
深夜料金プランが得になるのは、「電気のほとんどを深夜に使う」場合だけです。しかし、実際には日中も在宅していたり、エアコンや家電を使ったりすることが多いはず。
日中の電気使用量が多い家庭では、深夜プランの割高な日中料金が響いて、トータルで見ると損をしているケースがあります。特に在宅ワークが多い方や、日中に家事をする主婦・主夫の方は要注意です。電力会社のマイページなどで、時間帯別の電気使用量を確認し、本当に深夜プランが得なのか検証してみましょう。
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理由③:「バッテリー劣化」を防ぐなら昼間充電が有利

深夜の「低温充電」はバッテリーに負担
電気自動車(EV)のバッテリーは、低温環境での充電を嫌います。特に冬場の深夜は気温が下がり、バッテリー温度も低下します。この状態で充電すると、バッテリーの劣化が進みやすくなります。
リチウムイオンバッテリーは、0℃以下の環境では充電効率が大幅に低下し、内部抵抗が増加します。この状態で充電を続けると、バッテリー内部に「リチウムメッキ」と呼ばれる現象が発生し、容量低下や寿命短縮につながります。
一方、昼間は気温が高く、バッテリー温度も適温に保たれやすいため、充電時の負担が少なくなります。特に冬場は、昼間の温暖な時間帯に充電することで、バッテリー寿命を延ばす効果が期待できます。
「ゆっくり充電」が理想だが、深夜だけでは時間が足りない
バッテリーに優しいのは、低出力でゆっくり充電すること。しかし、深夜時間帯(例えば深夜1時〜朝6時の5時間)だけでは、フル充電に時間が足りないことがあります。
例えば、3kWの普通充電器で50kWh充電するには、約16〜17時間必要です。深夜5時間では15kWh程度しか充電できません。結果として、充電出力を上げざるを得ず、バッテリーへの負担が増えます。
昼間も含めて充電時間を分散させることで、バッテリーへの負担を減らしつつ、必要な充電量を確保できます。
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理由④:「V2H」や「蓄電池」との相性が悪い

V2Hは「昼間に充電、夜に放電」が基本
V2Hシステムを導入している家庭では、EVを家庭用蓄電池として活用します。基本的な運用は、「昼間に太陽光で充電し、夜に家に電気を供給する」というもの。
しかし、深夜に電気自動車(EV)を充電してしまうと、朝にはバッテリーが満充電状態になり、昼間の太陽光を受け入れる余地がなくなります。結果として、せっかくの太陽光発電が余剰電力として売電されてしまい、もったいない状態に。V2Hシステムの導入費用は100万円以上かかることも多いため、このような非効率な運用では投資回収が遠のいてしまいます。
蓄電池も同様の問題
家庭用蓄電池を導入している場合も同じです。深夜に蓄電池を充電し、EVも深夜に充電すると、昼間の太陽光を有効活用できません。
理想的なのは、「昼間に太陽光でEVと蓄電池の両方を充電し、夜は蓄電池から家に給電、EVは温存」というパターンです。このサイクルを回すことで、電気代を最小化できます。
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理由⑤:「ピークシフト」の恩恵を受けられない

電力需要のピークは「夕方〜夜」
電力会社にとって、電力需要のピークは夕方から夜にかけての時間帯です。この時間帯に電力使用を抑えることを「ピークシフト」と呼び、電力会社は料金優遇などでこれを推奨しています。
しかし、深夜充電だけに頼っていると、ピークシフトの恩恵を受ける機会がありません。昼間に充電することで、夜間の電力消費を減らし、結果的に電力システム全体の効率化に貢献できます。また、社会全体で見れば、昼間の太陽光余剰電力を有効活用することで、化石燃料による発電を減らし、CO2削減にもつながります。
今後は「ダイナミックプライシング」が主流に
今後、電力料金は時間帯によって変動する「ダイナミックプライシング」が主流になると予想されています。これは、電力需要が高い時間帯は料金が高く、低い時間帯は安くなる仕組みです。
太陽光発電が多い昼間は電力が余るため料金が安く、夜間は需要が高いため料金が高くなる可能性があります。深夜充電だけに頼っていると、将来的に不利になるかもしれません。欧米では既にダイナミックプライシングが導入されており、日本でも2025年以降、本格的な導入が見込まれています。
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「本当にお得な充電戦略」とは?

①太陽光あり:「昼間充電」を優先
太陽光発電がある家庭は、晴天時の昼間に充電することで、売電ロスを防ぎ、電気代を最小化できます。曇天時や雨天時は深夜充電に切り替えるなど、柔軟に対応しましょう。スマートフォンアプリで太陽光発電量をモニタリングし、余剰電力が出ている時間帯を狙って充電するのが理想的です。
②太陽光なし:「深夜+休日昼間」の組み合わせ
太陽光がない家庭でも、休日の昼間など電力需要が低い時間帯に充電することで、若干お得になるケースがあります。また、将来的なダイナミックプライシングに備えて、昼間充電の習慣をつけておくのも良いでしょう。
③スマート充電器で「自動最適化」
最近では、太陽光発電の余剰電力を自動検知して充電を開始するスマート充電器も登場しています。こうした機器を活用すれば、手動で切り替える手間なく、最もお得な時間帯に充電できます。初期投資は必要ですが、長期的には十分元が取れる可能性があります。
まとめ:「深夜だけ」から「最適な時間帯」へ
EV充電を深夜だけにする運用は、一見すると電気代を抑えられそうに見えます。しかし、太陽光発電の有無や電力プラン、日中の在宅状況によっては、深夜充電が必ずしも最適とは限らないケースがあります。従来の「夜が安い」という前提が、現在の電力環境では当てはまらない家庭も増えています。
太陽光がある家庭では昼間充電が有利
太陽光発電がある家庭では、昼間に発電した電気をEVに直接充電することで、自家消費率を高めることができます。売電単価が下がっている今では、余剰電力を売るよりもEV充電に使った方が経済的なメリットは大きくなります。結果として、電気代の削減効果も高まりやすくなります。
充電時間帯は寿命や他設備との相性にも影響する
充電時間帯の選び方は、電気代だけでなく、EVバッテリーの寿命やV2H・蓄電池との相性にも関わってきます。特定の時間帯に偏らず、発電状況や家庭内の電力バランスに応じて柔軟に調整することが、長期的には有利になります。
電力プランと発電状況を一度見直す
一度、ご自宅の電力プランと太陽光発電の状況を整理し、本当にお得な充電戦略を考えてみることが大切です。少しの見直しでも、年間で数万円単位の差につながることがあります。
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EV充電を深夜だけにすると損|よくある質問(FAQ)
Q1: 太陽光発電がない家庭でも、昼間充電のメリットはありますか?
現時点では、太陽光がない家庭では深夜充電の方がお得です。ただし、今後ダイナミックプライシングが普及すれば、昼間の電力需要が低い時間帯(例えば平日の午前中など)が安くなる可能性があります。将来を見据えて、昼間充電の選択肢も持っておくと良いでしょう。
Q2: 深夜料金プランを解約すべきですか?
一概には言えません。太陽光発電があり、昼間充電が主になるなら、通常の従量電灯プランの方がお得な場合があります。ただし、家族構成や電気使用パターンによって最適なプランは異なるため、電力会社のシミュレーションツールで比較することをおすすめします。
Q3: 曇りの日はどうすればいいですか?
曇天時は太陽光発電量が少ないため、昼間充電のメリットが薄れます。この場合は深夜充電に切り替えるか、翌日の晴天を待つのが良いでしょう。スマート充電器があれば、発電量に応じて自動で判断してくれます。
Q4: EVのバッテリー寿命は、充電時間帯で本当に変わりますか?
はい、変わります。低温環境での充電はバッテリーに負担をかけるため、冬場の深夜充電は劣化を早める可能性があります。ただし、充電速度(急速 vs 普通)や充電頻度の方が影響は大きいため、時間帯だけで過度に心配する必要はありません。
Q5: V2Hシステムを使っている場合、深夜充電は絶対NGですか?
絶対NGではありませんが、非効率です。V2Hの本来の目的は「昼間に太陽光で充電し、夜に家に給電する」ことです。深夜に電力会社から買電して充電すると、V2Hの経済的メリットが大きく減少します。可能な限り昼間の太陽光充電を優先しましょう。
Q6: スマート充電器の導入費用はどのくらいですか?
製品によりますが、太陽光連携機能付きのスマート充電器は、本体価格が10〜30万円程度、工事費込みで15〜40万円程度が目安です。初期費用は高いですが、長期的には電気代削減効果で回収できる可能性があります。補助金制度もあるため、自治体の情報をチェックしてみてください。


























