太陽光パネルのマイクロクラックとは?発生原因と発電量への影響を解説

投稿日: 2026年09月09日

太陽光パネルのマイクロクラックとは?発生原因と発電量への影響を解説

マイクロクラック(Micro Crack)とは、太陽光パネルを構成するシリコンセルに発生する微細な亀裂です。パネル表面のガラスが割れていなくても、内部のセルだけに亀裂が生じている場合があり、通常の目視点検では発見することが難しいのが特徴です。

また、マイクロクラックが発生しても、すぐに発電量が大きく低下するとは限りません。亀裂の位置や大きさ、方向などによって影響が異なるため、太陽光パネルの「見えない劣化」の一つとして注意する必要があります。

輸送や施工時の衝撃などがマイクロクラックの原因になる

太陽光セルに使われるシリコンウェハーは薄く、強い力や変形によって亀裂が生じることがあります。原因となるのは、製造や輸送時の振動・衝撃、施工時の不適切な取り扱いなどです。また、設置後も強風によるパネルのたわみや積雪による荷重など、さまざまな外力を受けます。

さらに、長期間にわたって温度変化や機械的な負荷が繰り返されることで、すでに存在していた微細な亀裂の状態が変化する場合もあります。発生を抑えるには、輸送から施工まで適切に扱うことが重要です。

マイクロクラックの状態によっては発電量が低下する

マイクロクラックが生じたからといって、必ず発電量が低下するわけではありません。しかし、亀裂によってセルの一部が電気的に分離され、発電した電気を電極へ集める経路が損なわれると、パネルの出力低下につながる可能性があります。

さらに影響が大きくなれば、セルの一部が十分に発電できなくなったり、局所的な発熱につながったりする場合もあります。発電量への影響は亀裂の位置や範囲によって異なるため、マイクロクラックの有無だけでなく、その状態を確認することが大切です。

EL検査で目に見えないマイクロクラックを確認できる

外観から確認することが難しいマイクロクラックの検出には、EL検査(エレクトロルミネッセンス検査)が利用されています。太陽光セルに電流を流して発光させ、その状態を専用のカメラで撮影することで、セル内部の亀裂や電気的に機能していない部分などを画像として確認できます。

発電量が想定より低い場合でも、外観だけでは原因を判断できないケースがあるため、EL検査は内部状態を調べる有効な方法の一つです。本記事では、マイクロクラックの仕組みから原因、発電量への影響、検査方法まで詳しく解説します。

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マイクロクラックが太陽光パネル内部で起こる仕組み

マイクロクラックが太陽光パネル内部で起こる仕組み

セル内部のシリコン結晶に微細な亀裂が入る理由

太陽光パネルのセルは、薄いシリコンウェハーで構成されており、非常に脆い素材です。輸送時の振動、施工時の踏みつけ・荷重、強風による揺れ、積雪による圧力など、外部からの力が加わると、セル内部に微細な亀裂が生じることがあります。これが マイクロクラック です。亀裂はセル全体を貫くわけではなく、部分的に電流の流れを阻害するため、発電量が徐々に低下します。

特に近年の高効率セル(PERC、TOPCon、HJT)は薄型化が進んでいるため、マイクロクラックの発生リスクが高まっています。外観が無傷でも内部で亀裂が進行するため、発電量低下の原因として見逃されやすい点が問題です。

マイクロクラックは“進行する”という特徴を持つ

マイクロクラックは一度発生すると、温度変化や振動によって亀裂が広がることがあります。太陽光パネルは昼夜で温度差が大きく、夏場は80℃近くまで上昇し、夜間は20℃以下まで下がることもあります。この温度サイクルによってセルが膨張・収縮を繰り返し、亀裂が徐々に広がることで電流経路がさらに阻害されます。

また、強風や積雪による荷重が繰り返し加わると、亀裂が深くなり、発電量の低下が加速します。マイクロクラックは「発生した瞬間よりも、その後の進行が問題になる」現象であり、長期的な発電性能に大きな影響を与えます。

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マイクロクラックが発電量を低下させる仕組み

マイクロクラックが発電量を低下させる仕組み

セル内部の電流経路が遮断される仕組み

太陽光セルは、シリコン内部で発生した電子を電極へ導くことで発電します。しかし、マイクロクラックが発生すると、電子が流れる経路が部分的に遮断され、セル全体の電流が低下します。セルは直列で接続されているため、1セルの電流が低下するとストリング全体の発電量が下がります。

特に、亀裂がバスバー付近に発生すると電流の流れが大きく阻害され、発電量が顕著に低下します。外観が無傷でも内部で電流が流れにくくなるため、原因が特定しにくい点がマイクロクラックの厄介な特徴です。

ホットスポットの発生リスクが高まる理由

マイクロクラックが進行すると、亀裂部分が発熱し「ホットスポット」が発生することがあります。ホットスポットはセルの一部が異常発熱する現象で、発電量低下だけでなく、パネルの寿命を縮める原因にもなります。

亀裂によって電流が流れにくくなると、その部分が抵抗となり熱を持ちやすくなるため、長期的にはセルの焼損やバックシートの劣化につながることがあります。マイクロクラックは単なる発電量低下だけでなく、パネルの安全性にも影響する重要な問題です。

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太陽光パネルのマイクロクラックの発生原因

太陽光パネルのマイクロクラックの発生原因

輸送・施工時の荷重が最も多い原因

太陽光パネルは輸送時の振動や衝撃、施工時の踏みつけ・荷重によってマイクロクラックが発生することが多いです。特に施工現場では、パネル上に体重をかけて作業する、パネルを斜めに持ち上げる、屋根材に強く押し付けるなどの行為が亀裂の原因になります。

外観が無傷でも内部で亀裂が入るため、施工品質が発電量に直結します。さらに、施工時は工具の落下や金具の締め付け過多など“瞬間的な局所応力”が加わる場面も多く、セル内部の微細な亀裂を誘発しやすい環境です。こうした初期ダメージは運用中の温度変化や荷重で進行しやすくなるため、施工時の取り扱いはマイクロクラック対策として最も重要なポイントです。

強風・積雪・経年劣化による亀裂も多い

強風でパネルが揺れると、セルに曲げ応力が加わり亀裂が発生することがあります。また、積雪による荷重は非常に大きく、特に湿った雪は重量が増すため、セルに大きな負荷がかかります。さらに、長年の温度変化による膨張・収縮の繰り返しで、セル内部の微細な亀裂が進行することもあります。

加えて、屋根材のたわみや金具の経年変化によってパネル全体の応力分布が変わると、セルに局所的な負荷が集中し、既存の亀裂が広がりやすくなります。夏場の高温と冬場の低温を毎年繰り返すことで、セルは常に微小なストレスを受け続け、マイクロクラックは「施工時だけでなく、運用中にも発生・進行する」現象である点が重要です。

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マイクロクラックが発電システム全体に与える影響

マイクロクラックが発電システム全体に与える影響

ストリング構成がマイクロクラックの影響を増幅する理由

太陽光パネルは複数のセルが直列で接続され、さらに複数のパネルがストリングとして直列接続されています。この構造のため、1枚のパネルの一部セルに マイクロクラック が発生すると、そのセルの電流が低下し、ストリング全体の電流が制限されます。つまり、ストリングは「最も弱いセルの性能に引っ張られる」構造であり、わずかな亀裂でも全体の発電量が下がる仕組みです。

特に、影や汚れと同様に、マイクロクラックは“部分的な発電低下”が“全体の発電低下”に直結するため、発電所規模では数%〜10%以上のロスにつながることもあります。外観では問題が見えないため、原因特定が遅れやすく、長期的な発電損失を招く点が大きなリスクです。

バイパスダイオードが作動すると発電ロスがさらに拡大する理由

太陽光パネルには、影や故障セルによる電流低下を回避するために「バイパスダイオード」が搭載されています。しかし、マイクロクラックが進行しセルの電流が極端に低下すると、バイパスダイオードが作動し、そのセルを含む複数セルのブロックが“丸ごと迂回”されます。

これにより、発電量はセル単体の低下では済まず、ブロック単位で大きく低下します。さらに、バイパスが頻繁に作動すると発熱が増え、ホットスポットのリスクも高まります。

つまり、マイクロクラックは「セルの発電低下 → ブロックの発電停止 → ホットスポット」という悪循環を引き起こす可能性があり、パネルの寿命や安全性にも影響します。マイクロクラックは単なる微細な亀裂ではなく、システム全体の発電効率を左右する重大な要因です。


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まとめ:マイクロクラックは太陽光パネルの発電性能を左右する劣化の一つ

マイクロクラックは外から見つけにくい太陽光パネル内部の亀裂

マイクロクラックとは、太陽光パネルを構成するセルに生じる微細な亀裂です。パネル表面のガラスが割れていなくても、内部のシリコンセルだけに亀裂が発生している場合があり、通常の目視点検では発見できないことがあります。また、亀裂があってもすぐに大きな発電低下が起こるとは限りません。

亀裂の位置や範囲によって影響は異なりますが、電流を集める経路からセルの一部が電気的に分離されると、発電性能の低下につながる可能性があります。

輸送や施工だけでなく設置後の外力でも発生する可能性がある

マイクロクラックは、製造から輸送、施工、設置後の運用までさまざまな段階で発生する可能性があります。輸送中の振動や衝撃、施工時の不適切な取り扱いのほか、設置後も強風や積雪などによってパネルに大きな力が加わることがあります。

また、長期間にわたる温度変化や機械的な負荷によって、すでに存在する亀裂の状態が変化する場合もあります。そのため、太陽光パネルの長期性能を維持するには、製品性能だけでなく、輸送や施工を含めた適切な取り扱いも重要です。

マイクロクラックの状態によっては発電量低下につながる

マイクロクラックが発生しても、すべてのケースで発電量が大幅に低下するわけではありません。しかし、亀裂によってセルの一部が電気的に切り離されたり、電流を集める経路が損なわれたりすると、その部分で十分に発電できなくなる可能性があります。

影響が大きくなれば、パネルの出力低下や発熱などにつながることも考えられます。発電量への影響は亀裂の位置や方向、範囲などによって異なるため、単に「亀裂があるか」だけではなく、発電性能にどの程度影響しているかを確認することが重要です。

EL検査を活用すれば目視できないマイクロクラックを確認できる

外観から確認しにくいマイクロクラックの検出には、EL検査(エレクトロルミネッセンス検査)が利用されています。太陽光セルに電流を流して発光状態を撮影することで、正常な部分と異常が疑われる部分の違いを画像として確認できます。

ただし、マイクロクラックを発見したからといって、必ずパネル交換が必要になるわけではありません。亀裂の状態や出力への影響などを総合的に確認する必要があります。長期的な発電性能を維持するには、適切な施工と点検によって異常を早期に把握することが大切です。

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太陽光パネルのマイクロクラックとは?Q&Aよくある質問

マイクロクラックはどれくらい発電量を低下させるのですか?

マイクロクラックによる発電量低下は、亀裂の位置・深さ・進行度によって大きく異なります。軽度の亀裂であれば数%の低下に留まることもありますが、セルの電流経路を大きく遮断する亀裂が発生すると、1枚のパネルで10〜30%以上の低下が起こるケースもあります。

さらに、太陽光パネルは複数セルが直列接続されているため、1セルの電流低下がストリング全体の電流を制限し、発電所規模では数%〜10%以上のロスにつながることがあります。亀裂がバスバー付近に発生した場合は影響が特に大きく、バイパスダイオードが作動してブロック単位で発電が停止することもあります。外観では問題が見えないため、原因特定が遅れやすく、長期的な発電損失につながる点が最も大きなリスクです。

マイクロクラックはどのように発生するのですか?

マイクロクラックは、太陽光パネルが受ける外力や環境ストレスによって発生します。最も多い原因は輸送・施工時の荷重で、パネルを斜めに持ち上げる、屋根材に強く押し付ける、パネル上に体重をかけて作業するなどの行為が内部セルに微細な亀裂を生じさせます。また、強風でパネルが揺れるとセルに曲げ応力が加わり、積雪による荷重はセルに大きな圧力を与えます。

さらに、太陽光パネルは昼夜で温度差が大きく、夏場は80℃近くまで上昇し、夜間は20℃以下まで下がることもあります。この温度サイクルによってセルが膨張・収縮を繰り返し、既存の亀裂が進行することがあります。つまり、マイクロクラックは「施工時に発生し、運用中に進行する」現象であり、長期的な発電性能に大きな影響を与えます。

マイクロクラックはどのように検出するのですか?

マイクロクラックは外観ではほぼ確認できないため、検出には EL検査(エレクトロルミネッセンス検査) が用いられます。EL検査では、パネルに電流を流し、セルが発光する様子を撮影することで内部の亀裂を可視化します。亀裂部分は発光が弱く、黒い線や模様として写るため、肉眼では見えないマイクロクラックを高精度で検出できます。特に、施工後の初期検査や、発電量が急に低下した際の原因特定に有効です。

ただし、EL検査は専門機材が必要で、現場で簡単に実施できるものではありません。発電所規模では定期的なEL検査が推奨されますが、住宅用では施工品質の確保が最も重要です。EL検査はあくまで“診断手段”であり、マイクロクラックの根本対策は施工・取り扱い・環境管理にあります。

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執筆・監修者:エコ発電本舗 太陽光・蓄電池・V2H専門チーム

 執筆・監修者:エコ発電本舗 太陽光・蓄電池・V2H専門チーム 
本記事は、太陽光発電・蓄電池・V2Hの施工・販売に携わる専門チームが執筆・監修しています。各メーカーの施工ID保有者やMBA、宅地建物取引士などの有資格者が、豊富な施工実績と最新の業界情報をもとに、信頼性の高い情報をわかりやすく解説いたします。

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