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脱炭素とは?脱炭素の全体感をつかむ

投稿日:2021年10月01日

脱炭素とは?脱炭素の全体感をつかむ

昨今、脱炭素やカーボンニュートラルなどの言葉が飛び交い、環境改善の意識が浸透しつつありますが、言葉の意味や目的、現状の課題を理解していない人も多いかと思います。
今回は「脱炭素」の基礎についてあらためて解説いたします。

◆ そもそも脱炭素ってどういう意味?
普段の生活で車や飛行機を利用したり、工業製品などを利用することで、われわれは温室効果ガスを排出しています。

脱炭素とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を極力抑えることと、排出されている温室効果ガスを極力除去することです。
排出量と除去量の差分をゼロとすることを、カーボンニュートラルといいます。
ちなみに、日本は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す宣言をしています。

◆ 温室効果ガスって何?
大気中の水蒸気、メタン、二酸化炭素などの総称で、太陽の熱エネルギーを吸収して、再度放出する性質があります。
温室効果ガスは地球にとって必要なもので、もし温室効果ガスがなくなれば、地球の表面温度はマイナス19℃程度まで下がります。
温室効果ガスのおかげで、人類が生活できる温度が維持されているのです。
人間が排出する温室効果ガスの大部分は化石燃料由来の二酸化炭素がほとんどです。

◆ 温室効果ガスがもたらす課題は?
温室効果ガスによって気候変動が起こっていますが、具体的には、産業革命以降、温室効果ガスの排出量が激増したことで、熱の吸収量が増え地球の温度が上昇しており、いわゆる「地球温暖化」がすすんでいます。

地球温暖化により、水面上昇や豪雨が発生し、世界的に洪水による被害が深刻化しています。

地球温暖化の具体的な数値としては、2011~2020年にかけて地球の平均気温が1.09℃上昇しています。
温室効果ガスを抑制する施策がなされなければ、今後も温暖化がすすみます。
ちなみに、気温が1.5℃上昇すると、50年に一度しか発生しなかった熱波が5年周期で発生します。

とにかく、地球の温暖化がすすむにつれて、人類にとって悪影響となる気候変動が起こり、その主因が温室効果ガスなのです。

脱炭素はどうやって実現する?

脱炭素はどうやって実現する?

脱炭素の切り口は「温室効果ガスの排出量の削減」「温室効果ガスの除去」です。
特に、前者の温室効果ガスの排出量の削減が重要で脱炭素への影響度が高いです。
温室効果ガスの排出量削減の切り口は「省エネによるエネルギー消費量削減」「クリーンエネルギーへのシフト」があげられます。
特に、後者のクリーンエネルギーへのシフトが重要です。

温室効果ガスの主な要因は以下の3つです。
 ・火力発電
 ・工場の排出ガス
 ・車の排気ガス

特に、火力発電は温室効果ガス排出量の4割を占めるほど諸悪の根源となっております。
簡単に言えば、火力発電を削減して、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーと原子力発電を増やすことで、温室効果ガスの排出量削減は実現できます。

◆ 再生可能エネルギーの普及拡大
日本でも再生可能エネルギーの普及を促進するため、2012年にFIT制度が導入され再生可能エネルギーの発電事業者には大きなインセンティブが提供され、太陽光発電所が急激に増えました。

2030年の電源構成比として、再生可能エネルギーは36~38%まで引き上げられ、さらなる普及が不可欠となっています。

◆ FIT制度とFIP制度の違いって?
2012年からFIT制度が導入されました。 FIT制度とは固定価格買取制度のことで、売電量1kWあたり○○円と、売電量に対する売電価格が固定されています。
一定期間で投資回収できる程度の売電価格に設定されており、固定されていることで、投資対効果の予測も容易なので、投融資を受けやすく発電事業者として参入しやすくなります。
ただし、発電事業者が儲かる分、財源となる再エネ賦課金は上昇し、電力の一般消費者の負担は大きくなりました。

新たな制度として、2022年6月から「FIP制度」がスタートします。
FITと違って、売電価格は固定されておらず、電力卸市場に一定のプレミアム価格を上乗せした金額が売電価格として発電事業者に支払われます。
電力卸市場の価格は需給バランスによって変動し、需要が少ない時間帯は売電価格が低価格になります。

なんにせよ、再生可能エネルギーを普及拡大させるためには、発電事業者へのインセンティブが不可欠で、事業者はそれなりの経営合理性がなければ取り組みません。
また、太陽光発電や風力発電など高額設備ですので、銀行融資などを活用して設置する方がほとんどで、ある程度確約されたインセンティブがないと融資を受けることも困難となります。

脱炭素のマクロ的な流れはどんな感じ?

脱炭素のマクロ的な流れはどんな感じ?

脱炭素の時流を「政治、経済、技術、社会」でみてみましょう。

◆ 脱炭素の政治的な視点
2010年代以降、国際的にも気候変動問題の改善について取り組むべきとのコンセンサスが取られています。

2015年には温室効果ガスの排出削減の枠組みが構築されたパリ協定では、世界190カ国が参加。
120カ国以上が2050年頃までにカーボンニュートラルを実現すると表明しており、各国で脱炭素実現に向けて、多額の投資や税制優遇などを展開している。

重要な取り組みとして「カーボンプライシング」があり、炭素を値付けすることで、温室効果ガスの排出量の可視化を実現し、炭素の排出量削減に価格を設定することで、排出量削減のモチベーションを設定している。
今後は、企業間だけではなく一般消費者も排出枠取引に参入できる仕組みができそうです。

また、「グリーンファイナンス」により、気候変動対策に取り組む企業に投融資が集まる仕組みづくりがなされます。
そのプロセスとして、二酸化炭素を年間3000トン以上排出する企業には排出量の詳細なデータ開示が義務付けられます。

 テスラは排出量取引で大儲け 
テスラは、排出量取引により巨額の収益をあげています。
ご存知の通り、テスラは電気自動車の製造メーカーで排出ガスがほとんどないので、余剰の排出枠を確保しており、排気ガスの排出量の基準を下回る自動車会社に排出枠を売っているのです。
ちなみに、2020年の排出量の販売額は1700億円。すごいですね。

◆ 脱炭素の経済的な視点
脱炭素の実現には巨額の資金がかけられており、企業にとっての大きなオポチュニティとなり、脱炭素に取り組む多数のスタートアップ企業も出現している。

各政府は「グリーンボンド」という債権により、グリーン政策を実現するための資金を調達している。
それでも、パリ協定での2050年までにカーボンニュートラルを実現するという宣言を実現するための資金としては、圧倒的に不足しており、さらなる資金流入が不可欠となる。

一方で、クリーンエネルギーが普及することで、従来の化石燃料由来の設備は負債となり、通称「座礁資産」とよび、投融資が引き上げられるうごきとなっている。
実際に、大手銀行や機関投資家は化石燃料由来の事業に対する新規の投融資を禁止したり、既存投融資に対しても縮小する方針をかかげている。

◆ 脱炭素の技術的な視点
当然だが、脱炭素の実現のためさまざまな新しいテクノロジーが生み出されている。
太陽光発電や風力発電は発電効率や生産効率の上昇により、発電コストは激減し、従来の化石燃料の発電コストを下回る水準まで技術進歩している。

再生可能エネルギーは、多額のインセンティブの設定により、特に太陽光発電などは大量に普及している。
その結果として、発電量が供給過多になり、余った電気は活用されないいわゆる「出力抑制」が起きています。
逆に言えば、それだけ再生可能エネルギーが普及した結果です。

次のステップとしては、発電電力を無駄にしないように、VPPによる需給調整や、送電網強化により他のエイアへの電力託送、余剰発電量の蓄電など、調整機能を充実させる必要があります。
実際にVPP(バーチャルパワープラント)は、実証実験がすすんで、近いうちに実用化されそうです。
VPPでは、遠隔操作でご自宅や企業に設置した蓄電池の充放電操作を行い、再生可能エネルギーを活用した需給調整を実現できます。

◆ 脱炭素の社会的な視点
世界の環境問題は極めて深刻であり、改善に向けて社会全体で環境志向が高まっている。
ガソリン車の新車販売禁止など、企業の脱炭素の取り組みは、企業活動のみならず実生活にも関わってくるので個人の環境意識も高まってくるでしょう。
車は電気自動車か燃料自動車を購入し、省エネ住宅に住み、なるべく環境に配慮した衣類や生活用品を購入するようになり、企業も環境配慮をアピールする必要が高まり、環境改善のスパイラルが生まれそうです。

企業のアピールとして「RE100」への参加があります。
RE100とは、事業活動の全電力を再生可能エネルギーでまかなうことを目的とした取り組みです。
実現方法は、太陽光発電の導入など自家消費、とPPAです。
PPAとは発電事業者から再生可能エネルギー由来の電力を購入することです。
自家消費とPPAで不足する場合は、再生可能エネルギー由来の電力プランを購入したり、排出枠を購入することで、全ての使用電力を再生可能エネルギーでまかなっている立て付けにします。
ちなみに、2020年のPPAの購入量ナンバーワンは米アマゾンで、アップルしかり世界のリーディングカンパニーは取り組みもダイナミックです。

◆ 脱炭素に取り組むスタートアップは?
脱炭素、気候変動対策に取り組むスタートアップ企業を、「クライメートテック」と呼ばれており、クライメートテックの世界の市場規模は、2020年が260兆円、2025年には400兆円まで上昇すると言われている。
グローバルではクライメートテック、クリーンテック市場で多数のユニコーン企業が生まれているが、日本ではlooop、TRENDE、みんな電気、VPPJAPANなどが有名どころですね。

脱炭素のまとめ

脱炭素のまとめ

ということで、脱炭素について解説してみました。
記事を書いている私にとっても非常に勉強になりました。

◆ 脱炭素のまとめ
温室効果ガスによって、地球が温暖化している。
産業革命以降、約1℃上昇している。

地球温暖化により、豪雨による洪水災害が年々拡大している。

温室効果ガスを発生させる三大要素は、火力発電、工場の排出ガス、車の排気ガスで、火力発電が全体の4割を占めている。

火力発電の削減には再生可能エネルギーの普及拡大が必須。
2030年までに電力構成比における再生可能エネルギーの割合を36~38%まで高める。
太陽光発電などある程度普及しているが、調整機能が進歩しておらず出力抑制されている。
今後はVPPや送電網強化で発電電力を最大限活用させる。

カーボンプライシングの取り組みやRE100実現のために、排出量取引が活性化する。
排出枠取引活性化のプロセスで、企業の温室効果ガスの排出量の可視化が実現され、環境改善活動に消極的な会社は市場からの投融資が厳しくなりそう。

パリ協定では2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言している。

当社も微力ながら、地球環境改善に全力で貢献いたします。

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