中国電力の電気料金値上げは、生活に直結する重要な変化です。いつ頃からどれくらい値上がりするのか、値上がりが著しい電気料金をどうやって節約できるのかなど、気になっている方も多いでしょう。こちらでは、中国電力の値上げに関する詳細や節約方法、新料金メニューなど、値上げに関する様々な疑問点について見ていきます。
中国電力の電気料金値上げ
中国電力の電気料金値上げは、2023年4月1日に実施されています。対象となっているのは従量電灯制などの規制料金及び自由料金だけでなく、高圧・特別高圧電力プランも含まれます。送配電網の利用料である託送料金について平均16％の値上げを行っており、1カ月あたり260キロワットを一般家庭が使用した場合、規制料金は従量電灯Aで6,209円から6,586円と377円上がる計算です。託送料金が引き上げられたことにより、高圧・特別高圧のプランも見直しがされています。
さらに、2023年6月1日からは燃料価格や電力市場価格の高騰などをふまえて見直しが行われます。月260キロワット使用の一般家庭が従量電灯Aのプランを利用した場合、燃料費調整で旧料金が6,053円だったところ7,720円になり、1,667円（＋27.54％）の増加となる予定です。一方で、規制料金の値上げ幅が縮小したことを受けて、スマートコースなどの自由料金については値下げされるものもあります。
中国電力の経費削減への取り組み
中国電力は火力発電が主体となっているため、経費削減の取り組みの中心は燃料費です。例えば、効率の悪い経年火力発電所を廃止して固定費を削減し、同じ量の燃料でもより多くの電力を得られるような最新技術を取り入れた施設を導入することで、二酸化炭素の排出抑制にも役立っています。また、石炭等の受け入れ品を拡大し、業務内製化に取り組むことで電力の安定供給と諸経費削減を目指しています。
さらに、総人件費の抑制、資材等の調達コスト低減にも意欲的に取り組んでいます。燃料で言えば、石炭は燃焼安定性や環境基準への適合性、燃焼試験の結果などをふまえて効率的で経済効果の高い薪炭種の導入拡大に努めているところです。また、役員報酬の減額、業務効率化による在籍人員数の見直しなども行われています。もちろん、業務の集中化や組織の統廃合、組織体制の強化などで業務の品質を維持するように注力していますし、保有資産の見直しなどにも取り組んでいます。
中国電力の値上げは国の割引事業で緩和される？
電気料金が値上げされても、一定期間は国の割引事業で緩和されることになっています。具体的には「電気・ガス価格激変緩和対策事業」という名称で、中国電力も公募への申請を行い、採択されているため、電気料金の緩和が可能です。この事業では、中国電力と契約をしている低圧・高圧の全ての消費者を対象に、2023年1月使用分から9月使用分、2023年2月分から10月分までの電気料金を値引きすることになっています。なお、契約電力が500キロワット以上の高圧を利用しており、検針日が毎月初日の場合には、2023年2月使用分から10月使用分までの電気料金が対象です。
この特別措置では、電力量料金について定められている値引き単価を燃調単価から差し引いて計算することになっています。値引単価は、1キロワットあたりにつき、2023年2～9月は低圧で7円、高圧で3.5円、2023年10月は低圧で3.5円、高圧で1.8円です。なお、この措置を受けるにあたって消費者側が手続きを取る必要はありません。
値上げ幅が全国最大規模の中国電力、原発はどうなる？
全国の電力会社で値上げが行われていますが、大手については平均15～39％の値上げ幅となっています。その中で、中国電力は26.1％と比較的大きい値上げ幅となっている状況です。経費削減の企業努力を進めているとはいえ、中国電力は火力発電と原発による発電を行っており、特に火力発電が中心となっているため、燃料の高騰が電気料金に直結します。原発については、島根原発は1号炉が廃炉、2号炉は停止状態が続いており、3号炉と上関原発が稼働するにはまだ時間がかかる見込みです。加えて、原発については周囲から否定的な意見が出ることも多く、安全性や環境問題に十分な配慮をしながら進めていく必要があります。このような状況から、中国電力では燃料の安定供給と原発の安全確保に一定のコストを割かれてしまうため、値上げ幅が大きくなりやすい傾向が見られます。
中国電力で契約を見直すならお得なプランは？
中国電力では、従量電灯のプランは大幅に値上げになりましたが、一般家庭用に「ぐっとずっと。プラン」が用意されています。こちらのプランは複数のコースがあり、それぞれの家庭のライフスタイルに合わせて、時間ごとに電気料金を変更する料金メニューです。15キロワットまでは一律料金、その後は使用電力量に応じて1キロワットあたりの電気料金を段階的に変更し、使用した分だけ電気料金を支払うようになっています。こちらのプランは従量電灯の値上げが実施される2023年6月1日以降に一部値引きされますので、場合によっては電気代が安くなる可能性もあります。
スマートコースとシンプルコースは時間帯の区分がありませんが、月あたり400キロワットを超えて使用する家庭では、シンプルコースの方がおすすめです。ナイトホリデーコースは平日夜間と休日の電気料金が安くなっており、平日昼間に誰もいない家庭に向いています。電化住宅ならば、同じように平日夜間と休日の電気料金が安く、さらにお得な電化Styleコースも選べます。
値上げで変更になった燃料費等調整額とは？
燃料費調整額とは、発電に必要な燃料の価格変動を電気料金に反映させるための調整額です。基準燃料価格と3カ月分の平均燃料価格を比較して、2カ月後に契約種別ごとに燃料費調整単価を毎月算定し、電気料金に反映させています。電力会社によって基準燃料価格は異なっていますが、中国電力エリアでは2023年3月以前は1klあたり26,000円であったところ、同年4月以降は75,400円と大幅な増額です。燃料費等調整額は、平均燃料価格と基準燃料価格の差額に基準単価を1,000で割った数値を乗じて計算します。具体的な金額は中国電力のホームページ上で燃料費等調整単価表として明記されており、請求書からも確認できます。
再生可能エネルギーの課題
中国電力は火力発電所が中心となっているため、再生可能エネルギーへのエネルギー転換は大きな課題です。太陽光発電は2011年12月に広島県福山市、2014年12月に山口県宇部市に設置されており、風力発電は中国電力グループが山口県長門市で建設、保守を行っています。もちろん、一般家庭が自宅に設置している太陽光発電から余った電力を買い取る事業も行っています。とはいえ、いずれも規模が小さいことから安定して大量の電力を供給するには不足しており、当面は火力発電を中心とした電力供給が続くことになるでしょう。電気料金の値上げを受けて、再生可能エネルギーの割合をどのように増やしていくのかが大きな課題です。
中国電力の新料金プランとは
中国電力の値上げ幅は他社に比べてもかなり大きくなっているため、元々多くの電力を必要とする法人には負担が大きくなることが予想されます。しかし、中国電力を利用し続ける場合でも、その負担が必ずしも見込み通りになるとは限りません。中国電力では、高圧・特別高圧向けに値上げに伴って新料金メニューを導入しています。これは市場価格連動型プランとも言われており、新たに導入された市場価格調整額を適用することにより、値上げ幅を柔軟に調整するものです。中国電力では、自社の発電所で電力を作り出す以外にも、JEPX（卸電力市場）から電気を購入しています。JEPXの市場価格は30分ごとに変動し、中国電力の基準価格よりも高ければ電気料金に上乗せされ、低い場合には差し引かれるシステムです。
そのため、燃料の高騰などで電気料金が高額のまま推移することが考えられている場合には、変動しやすい市場価格連動型プランにした方がトータルに見て電気料金を抑えられる可能性があります。もちろん、市場の動向によっては燃料コストが大幅に減少した状態が続き、通常のプランよりも高額になることも考えられるでしょう。しかし、円安の長期化や世界的な経済不安などを鑑みると、市場価格連動型のプランを検討する余地は十分にあります。
値上げが続く中国電力で節電・節約するには？
中国電力の値上げに伴い、電気料金を抑えるためにどのような対策を取るべきでしょうか。もちろん、より低価格なプランを提供している電力会社への乗り換えや契約プランの見直しも有効な方法の一つです。固定費は一度見直すと半永久的にその利益を享受できますので、必要に応じて契約内容を見直すようにしましょう。
また、家電や使い方を見直すことも重要です。照明や冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど常時使う家電や使用電力が大きい家電は、新しいものに買い替えるだけで同じように使っていても消費電力を抑えられることがあります。とはいえ、買い替えにコストがかかりますので、こちらは頻繁に行える対策とは言えないでしょう。そのため、基本的には家電の使い方を変えることが重要です。普段使用しないものはこまめにコンセントを抜く、目的に合わせた家電を使うようにする、毛布やゆたんぽ、すだれ、断熱効果の高いカーテンなどの電力を必要としない代替品を取り入れる、料金プランを確認し、単価が安くなる時間に必要な作業を終えてしまうなど、様々な改善点があります。
電力を節約するにはどうすれば良い？
効率的なプランや家電の使い方について見直すことも大切ですが、消費電力を節約すれば、その分電気料金を抑えることにもつながります。例えば、家庭用の蓄電池を設置すれば、単価が安い時間帯に電力を蓄えておくことで、電気代が高くなる時間帯を乗り切ることが可能です。また、太陽光発電の設備を設置すれば、昼間は蓄電池に充電しておき、夜間に蓄えておいた電力を使うことができるため、電力会社から購入する電気も抑えることができるでしょう。電気料金の値上げは全国的に行われているため、中国電力に限らず、当面は家計における負担が大きくなることは避けられません。値上げの事情や調整額などについて理解した上で、できるだけ電気料金負担を減らすように工夫をしましょう。
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