オール電化とガス併用はどっちが安い?電気代と光熱費を比較

投稿日:2026年06月05日

オール電化とガス併用はどっちが安い?電気代と光熱費を比較

新築住宅の購入や大規模リフォームを検討する際、「オール電化にするべきか、それともガス併用を維持するべきか」という判断は、多くの家庭が直面する重要なテーマです。光熱費を最小化したいという目的は共通でも、その最適解は一つではありません。

結論が変わる複数の条件

エネルギーコストは、住宅の規模や家族構成、生活パターン、地域の料金体系、さらには太陽光発電の有無といった複数の要素によって大きく左右されます。そのため、単純に「どちらが安い」と断言することはできません。

本記事では、オール電化とガス併用のコスト構造を複数の条件で比較し、「どのような家庭にどちらが適しているのか」を整理します。一般論ではなく、具体的なケースごとに判断の軸を提示します。

単純比較では見えない実態

電気料金とガス料金の最新動向を踏まえながら、単純な月額比較では見えにくいメリット・デメリットを掘り下げます。設備コストや運用の違いも含めて、より現実に近い判断材料を提供します。

なお、本記事の試算は2024年時点の標準的な電気・ガス料金を前提としています。エネルギー価格は変動するため、実際に契約する際には最新の料金情報を確認した上で判断することが重要です。

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オール電化とガス併用のコスト構造

オール電化とガス併用の基本的なコスト構造

オール電化は電気代が増えるがガス代がゼロになる

オール電化とは、給湯・調理・暖房のすべてを電気でまかなうシステムです。ガスコンロをIHクッキングヒーターに、ガス給湯器をエコキュートや電気温水器に替えることが一般的です。

最大の変化は「ガス代がゼロになる」ことです。都市ガスの基本料金(月700〜1,500円程度)と使用量料金がなくなる一方、電力消費量が増えるため電気代が上昇します。

ガス併用世帯の平均的なエネルギーコストは、電気代1万2,000〜1万5,000円/月+ガス代5,000〜8,000円/月=合計1万7,000〜2万3,000円/月程度が目安です。

オール電化世帯では電気代1万6,000〜2万円/月程度(深夜電力プランを活用した場合)になることが多く、ガス代の削減分と電気代の増加分がほぼ相殺されるか、やや安くなるというケースが多いです。ただしこの差は条件によって大きく変わります。

エコキュートの効率が鍵を握る

オール電化の経済性において最も重要な機器がエコキュートです。エコキュートはヒートポンプ技術を使い、外気の熱を利用してお湯を沸かすため、電気代を大幅に抑えられます。

エコキュートのCOP(成績係数)は3〜4程度であり、1kWhの電気で3〜4kWh相当の熱を生み出します。これがガス給湯器の効率(一般的に80〜90%)と比較して大幅に有利な点です。

さらに深夜電力(夜間割引プランを利用)でエコキュートを動かすことで、実質的なお湯1Lあたりのコストをガス給湯器より安くできるケースがあります。

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条件別の比較──どんな家庭はオール電化が有利?

条件別の比較──どんな家庭はオール電化が有利か

太陽光発電との組み合わせが最も効果的

オール電化が経済的に最も有利になるのは、太陽光発電との組み合わせです。太陽光で昼間に発電した電力でIHを使い、深夜電力でエコキュートを動かすことで、実際に電力会社から購入する電力量を大幅に削減できます。

さらに蓄電池を追加すれば、昼間の余剰発電を夜間に活用できるようになり、購入電力をさらに削減できます。太陽光+蓄電池+オール電化という組み合わせは、自家消費を最大化し、電気代・ガス代の両方をほぼゼロに近づけることができる「エネルギー自立型」の最強の組み合わせです。

一方、太陽光発電なしのオール電化は、電気料金の値上がりリスクを一身に受けやすいデメリットがあります。ガス併用であればガス・電気の両方で分散されているエネルギーリスクが、オール電化では電気一本に集中します。

2022年以降のエネルギー価格高騰では、電気・ガスの両方が値上がりしましたが、オール電化世帯は電気代の値上がりをダイレクトに受けました。

共働き・昼間不在世帯はオール電化が不利になりやすい

深夜電力の安さを活用してエコキュートを動かすオール電化の経済性は、深夜電力が安く昼間が高い「時間帯別料金プラン」の活用を前提にしています。しかし、昼間に帰宅してIHを使う時間帯は電力単価が高い時間帯と重なる場合があり、料金プランによっては電気代が割高になるリスクがあります。

また、電気給湯の場合は一度お湯を使い切ると次の沸き上げに数時間かかるため、来客が多い日や入浴者が多い家庭では湯切れのリスクがあります(エコキュートの容量選定と設定で対応可能)。

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ガス併用が有利になる条件とオール電化への移行コスト

ガス併用が有利になる条件とオール電化への移行コスト

調理へのこだわりがある場合はガスが選択肢

料理好きなご家庭やプロ志向の方の中には、ガスコンロの火力と調理感覚にこだわりを持つ方も多くいます。鍋を振る・強火を瞬時に使うという動作はガスコンロの方が直感的で、IHになれるまでの学習コストもあります。

純粋なエネルギーコストの比較だけでなく、「料理の快適さ」という生活の質の観点も、オール電化への移行判断に含めることが重要です。ただし最新のIHコンロは火力・機能面で大幅に向上しており、プロの料理人でもIHを選ぶケースが増えています。

また、マンションや賃貸物件ではオール電化への移行が物件の設備制約で困難な場合があります。さらに、オール電化への切り替えには機器代・工事費を含めて100〜200万円程度の初期費用がかかることが一般的です。

この初期費用と年間のエネルギーコスト削減額から投資回収期間を計算し、15〜20年以内に回収できる見込みがあるかどうかを確認することが判断の基準になります。

プロパンガスエリアではオール電化が有利になりやすい

都市ガスと比べてプロパンガス(LPG)は価格が高く、月のガス代が都市ガスの1.5〜2倍になることがあります。プロパンガスを使用しているエリアでは、ガス代が高いためオール電化へ切り替えることでエネルギーコストを削減できるケースが多くなります。

特に地方の一戸建て住宅でプロパンガスを使っている場合は、オール電化の経済メリットが都市ガスエリアより大きくなる傾向があります。現在のガス代(プロパン・都市ガスの別)と電気代の内訳を確認した上で、地元の施工業者にオール電化への切り替えコストと節約効果の試算を依頼することをお勧めします。

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2024年以降のエネルギー価格動向は?

2024年以降のエネルギー価格動向は?

電気・ガスともに値上がりが続く中での判断

2021年以降、ロシア・ウクライナ情勢や円安の影響でエネルギー価格が世界的に上昇し、日本でも電気・ガスともに大幅な値上がりが続きました。政府の電気・ガス料金激変緩和措置の縮小・廃止に伴い、2024年以降は実質的な料金が上昇しています。

オール電化・ガス併用のどちらにも「価格上昇リスク」があり、一方に賭ける判断の不確実性が高まっています。このような環境では、エネルギーの分散という観点も重要です。太陽光発電で電力の一部を自給し、残りを電力会社から購入するオール電化は、完全に市場価格に依存する状況からある程度自立できます。

一方、電気とガスの両方を持つガス併用は、どちらか一方の価格が上昇しても全体の影響が限定されるという分散効果があります。長期的な視点では、再生可能エネルギーの普及によって電気料金が相対的に安定・低下する方向性も見込まれていますが、短中期的には不確実性が高い状況です。

長期的には電化が有利になる可能性

日本のエネルギー政策の中長期的な方向性として、再生可能エネルギーの普及拡大と電化(電気による暖房・給湯・交通)の推進があります。

EVの普及・ヒートポンプ暖房の普及・太陽光発電のコスト低下が進む中で、電気料金が長期的に下がる可能性も否定できません。また、カーボンニュートラルの実現に向けてガス機器への規制が強化される方向性も各国で見られます。

純粋なコスト比較に加えて、環境への配慮・将来の政策リスクも考慮した上で、オール電化かガス併用かを選択することが、長期的に合理的な判断につながります。


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まとめ:「オール電化 vs ガス」は条件次第。太陽光との組み合わせが鍵

オール電化とガス併用の光熱費は、家族構成や生活パターン、地域のガス種別、契約している料金プランによって大きく変わります。一概にどちらが安いとは言えず、それぞれの条件によって優劣が入れ替わるのが実態です。

オール電化が有利になりやすい条件

太陽光発電を導入している場合や、プロパンガスを使用している地域、深夜電力プランを活用できる家庭では、オール電化の方がコスト面で有利になりやすい傾向があります。特に自家消費と組み合わせることで、電気代の削減効果が大きくなります。

ガス併用との差が縮まるケース

一方で、太陽光がない場合や都市ガスエリア、昼間の在宅時間が長い家庭では、オール電化とガス併用のコスト差は小さくなる傾向があります。条件によっては大きな優位性が出ないケースもあります。

判断の鍵は“個別シミュレーション”

最も重要なのは、一般論に頼るのではなく、自分の家庭の条件で年間のエネルギーコストを試算することです。地元の施工業者や専門家に依頼し、初期費用と回収期間まで含めて検討することで、より納得感のある判断ができます。

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オール電化とガス併用はどっちが安い?よくある質問(Q&A)

Q1. オール電化にした場合、停電時はどうなりますか?

オール電化の最大のデメリットのひとつが停電時のリスクです。ガス併用の場合、停電中でもガスコンロ(電子点火式は手動点火で対応可能)とガス給湯器(一部機種)が使用できますが、オール電化は停電と同時に調理・給湯・暖房のすべてが使えなくなります。この問題に対する対策として、蓄電池や太陽光発電の自立運転機能を備えることが有効です。また、カセットコンロ・石油ストーブなどの非電力系バックアップを用意しておくことが、オール電化世帯の防災準備として重要です。

Q2. 賃貸物件でもオール電化に変更できますか?

賃貸物件の場合、オール電化への変更は原則として家主(大家さん)の許可が必要であり、設備を変更する権限が借主にはありません。ただし、最初からオール電化仕様の賃貸物件は近年増えており、物件選びの段階でオール電化物件を選ぶことが現実的なアプローチです。分譲マンションの場合は管理組合の規約に従った手続きが必要になります。賃貸でエネルギーコストを下げたい場合は、IH対応のカセット型調理器や省エネ設定の徹底など、設備変更なしでできる範囲での対策が現実的です。

Q3. オール電化の初期費用はいくらくらいかかりますか?

オール電化への切り替えにかかる初期費用は、機器代と工事費を合わせて100〜200万円程度が一般的な目安です。

内訳としては、
・エコキュート(機器代+工事費):50〜90万円
・IHクッキングヒーター(機器代+工事費):15〜30万円
・分電盤の増設・配線工事:10〜30万円程度

が主な項目です。補助金(省エネ機器導入補助・自治体補助)を活用することで実質費用を下げることができます。初期費用と年間のエネルギーコスト削減額を比較し、投資回収期間が居住予定期間内に収まるかを確認することが重要です。

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